インディ500のファイナルプラクティスは、決勝の2日前の金曜日に行うのが恒例となっている。木曜日の夜から金曜日の朝にかけて雨が降ったインディアナポリスは、午前中も曇り空が広がり続け、小雨も降ったためにプラクティスの開催が危ぶまれた。しかし、天候が回復して午後1時から無事に走行時間を確保することができた。気温は20~21℃と低めで、やや湿度の高いコンディションで決勝に出場する33台がレースに向けた走行を重ねた。
このセッションで最速ラップを記録したのは2013年インディ500ウィナーのトニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)だった。2005年にインディ500でのポールポジション獲得経験も持つブラジル出身のベテランが出したベストは39秒6227=平均速度227.14mphだった。今年の彼の予選順位は6番手なので、インディでのキャリア2勝目を十分に狙える状況にある。2番手となる227.004mphをマークしたのはマーカス・エリクソン(Chip Ganassi Racing)だった。昨シーズンのデトロイトで初優勝し、ナッシュビルでキャリア2勝目を挙げたスウェーデン出身ドライバーは、今週末のインディ500も予選5番手で2列目真ん中のグリッドからのスタートであり、当然オーバルレース初優勝を狙っていくことが可能だ。平均時速226.839mphのラップで3番手につけたのは佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)だった。佐藤琢磨はファイナルプラクティスでも新しいセッティングにトライし、マシンのレベルをひとつ上げた。手応えをつかんだ佐藤琢磨は、予選10番手からインディ500での3勝目を目指す。5回目のインディ500ポールポジションを獲得したスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は226.696mphで4番手、今シーズンからオーバルレースにも出場している元ストックカーチャンピオンのジミー・ジョンソン(Chip Ganassi Racing)は7番手につけた。スポット参戦のマルコ・アンドレッティ(Andretti Herta Autosport with Marco and Curb-Agananian)も9番手と、ホンダドライバーたちはファイナルプラクティスでもトップ10に6人が入った。土曜日は公開ドライバーズミーティング、パレードなどが行われ、決勝レースは5月29日(日)の午後0時45分(日本時間:30日午前1時45分)にスタートする。トニー・カナーン(Chip Ganassi Racing)「僕たちのマシンは今月の最初のプラクティスから速さを保ってきています。それは誰もが知っていることでしょう。今日はトラフィックで走ることに専念し、マシンのハンドリングのよさを確認しました。何か試さないとならない項目がいくつもあるわけではなく、平穏な1日を過ごしました。正直に言うと、今日の僕たちは一切のセッティング変更をしなかったぐらいでした。ファイナルプラクティスで速くても意味はありませんから、最速など目指してはいませんでした。しかし、クルマがいいから最速ラップが記録できた。それだけのことだと思います」佐藤琢磨(Dale Coyne Racing with RWR)「レースに向けた準備の整い具合は間違いなく昨年よりいいものにできています。多くのセッションでトップ5に入れているのは、僕たちのマシンの完成度が非常に高いところにあることを示していると思います。決勝日の気温が高くなるという予報が出されていますが、今日のプラクティスも気温が低いコンディションでの走行となっていました。暑さに対応したマシンのセッティング変更はどれだけのものとするべきか。その点が非常に難しく、レースでのパフォーマンスに大きな影響を与えることとなるでしょう。経験から言って、僕たちはその調整をうまく行えるものと考えています」