アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が、2026年F1第5戦カナダGPで今季4連勝を達成した。序盤にはチームメイトのジョージ・ラッセルとの壮絶な首位争いを繰り広げ、レース中盤には幾度も接触寸前のバトルが展開された。しかし、その戦いは突然の幕切れを迎える。首位を争っていたラッセルが30周目にパワーユニットトラブルでストップ。メルセデスF1内部対決はアントネッリに軍配が上がり、ランキング首位のリードも43ポイントへ拡大した。一方で、マクラーレン勢はタイヤ戦略の失敗とトラブルが重なり、無得点という悪夢の週...
雨予報とタイヤ戦略が波乱の引き金カナダGP決勝は、降雨の可能性を抱えた難コンディションでスタートを迎えた。路面状況が刻々と変化する中、各チームは異なるタイヤ選択を敢行。マクラーレン、アウディ、キャデラック、カルロス・サインツはインターミディエイトを選択し、それ以外の多くはソフトタイヤを装着した。さらにスタート前にはアービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)がクラッチトラブルでグリッド上にストップ。追加フォーメーションラップが実施され、決勝周回数は68周へ短縮された。マクラーレン陣営では、オスカー・ピアストリがフォーメーションラップ中に「インターは間違いだ」と無線で不満を示していたが、その予感は現実となる。スタートが切られると、ランド・ノリスが圧巻の蹴り出しを決めて一気に首位へ浮上。しかし、マクラーレンはわずか数周で戦略変更を迫られ、ノリスとピアストリは早々にスリックタイヤへ交換する苦しい展開となった。ラッセル対アントネッリ 接触寸前の内部抗争レース序盤の主役は、完全にメルセデスの2台だった。アントネッリがトップを守り続ける一方で、ラッセルは激しくプレッシャーをかけ続けた。最終シケインではラッセルが前に出る場面もあったが、アントネッリもロックアップしながら食らいつき、2台は何度も並走状態に入った。10周前後にはマックス・フェルスタッペンがルイス・ハミルトンを抜いて3番手へ浮上したものの、視線はすべてメルセデス同士の争いへ集中していた。13周目にはピアストリがオリー・ベアマンを抜こうとしてアレックス・アルボンに接触。アルボンはそのままリタイアとなり、ピアストリには後に10秒ペナルティが科された。それでも前方では、ラッセルとアントネッリの激闘が続く。22周目、アントネッリは最終コーナーでついにトップ奪還に成功。しかし24周目、周回遅れのノリス処理中にロックアップし、再びラッセルが先頭へ返り咲く。さらにその直後、アントネッリがコース外からポジションを維持したことで、メルセデスは順位返還を指示した。「彼が押し出したのに、僕はもう前にいたじゃないか?」アントネッリは無線で不満を示したが、最終的には指示に従って順位を返還した。この一連の攻防についてスチュワードは追加調査不要と判断。しかし、その直後にレース最大のドラマが訪れる。ラッセル突然ストップ メルセデスF1の激闘は悲劇へ30周目、トップを走行していたラッセルのマシンが突然スローダウン。パワーユニット系統のトラブルによりマシンを止め、怒りを露わにしたラッセルはコクピットからヘッドレストを投げ捨てた。これによりバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、各車が一斉にピットへ向かう。アントネッリはミディアムタイヤへ交換し、フェルスタッペンに対して4.6秒差の首位でコース復帰。ここからレースの流れは完全にアントネッリ側へ傾いた。フェラーリF1復調 ハミルトンがフェルスタッペン撃破レース終盤には、2番手争いも白熱した。フェルスタッペンは序盤から力強いペースを見せていたが、終盤になるとハミルトンが急接近。「もっとパワーが必要だ」と無線で訴えながらも、ハミルトンは62周目のターン1でアウト側からフェルスタッペンを攻略した。フェラーリF1加入後、最も競争力を見せた週末となったハミルトンは、そのまま2位でフィニッシュ。フェルスタッペンは0.5秒差まで迫ったが逆転には届かず、今季初表彰台となる3位を獲得した。シャルル・ルクレールは4位。アイザック・ハジャーは複数回のペナルティを受けながらも5位を死守した。マクラーレンF1壊滅 ノリス&ピアストリ無得点一方で、マクラーレンF1にとっては壊滅的なレースとなった。インターミディエイト戦略は完全に裏目に出ただけでなく、ノリスは芝生走行によるトラブルや追加ピットストップを強いられ、最終的にはギアボックストラブルでリタイア。ピアストリもアルボンとの接触によるフロントウイング交換と10秒ペナルティが響き、11位でノーポイントに終わった。今季タイトル争いを牽引してきたマクラーレンだったが、カナダでは完全に流れを失う結果となった。アントネッリが示した“王者の資質”今回の勝利で、アントネッリは開幕5戦で4勝目。しかも今回は単なる速さだけではなく、チームメイトとの極限バトル、順位返還問題、変化する路面、VSC戦略、そして終盤のタイヤ管理まで、あらゆる要素を乗り越えての勝利だった。「ジョージとの戦いは本当に楽しかった。今日は風がかなり難しくて、ターン10は特に大変だった。彼にトラブルが起きたのは残念だったけど、素晴らしいバトルだったと思う」アントネッリはそう語った。カナダGPは、単なる1勝以上の意味を持つレースになった。メルセデスF1内部抗争を制したアントネッリは、2026年タイトル争いの主導権を完全に握り始めている。2026年F1カナダGP 決勝 結果1.アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)2.ルイス・ハミルトン(フェラーリ)3.マックス・フェルスタッペン(レッドブル)4.シャルル・ルクレール(フェラーリ)5.アイザック・ハジャー(レッドブル)6.フランコ・コラピント(アルピーヌ)7.リアム・ローソン(レーシングブルズ)8.ピエール・ガスリー(アルピーヌ)9.カルロス・サインツJr.(ウィリアムズ)10.オリバー・ベアマン(ハース)11.オスカー・ピアストリ(マクラーレン)12.ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)13.ガブリエル・ボルトレト(アウディ)14.エステバン・オコン(ハース)15.ランス・ストロール(アストンマーティン)16.バルテリ・ボッタス(キャデラック)DNF.セルジオ・ペレス(キャデラック)DNF.ランド・ノリス(マクラーレン)DNF.ジョージ・ラッセル(メルセデス)DNF.フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)DNF.アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)DNF.アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)
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