マックス・フェルスタッペンはF1イギリスGP予選後、マシンバランスへの不満から「ピットレーンからスタートしたい」とチームへ要望していた。しかしレッドブルはセットアップ変更を見送り、予選時と同じ仕様で決勝に臨むことを選択した。結果的にフェルスタッペンは終盤のリヤウイングトラブルでリタイアしたものの、チームは「ピットレーンスタートよりもグリッドからスタートした方が好結果につながる可能性は高かった」と説明している。
その判断の背景には、戦略面やタイヤマネジメントを含めた複数の理由があった。フェルスタッペンはセットアップ変更を希望していたイギリスGP予選でフェルスタッペンはRB22のバランスと最高速不足に苦しんだ。スプリントよりもストレートスピードが低下し、思うようなパフォーマンスを発揮できなかったことから、決勝前にはセットアップ変更を希望。その結果としてピットレーンスタートになることも受け入れる姿勢を示していた。しかし土曜日の夜に行われたチームミーティングで、レッドブル首脳陣はセットアップ変更を行わず、予選仕様のまま決勝を戦うことを決断した。レッドブルがセットアップ変更を見送った理由チーム代表ローラン・メキースは、セットアップ変更を行えばピットレーンスタートになることは理解していたと説明した。それでもチームは、最後尾から追い上げる展開よりも、多少扱いにくいマシンであっても前方グリッドからスタートした方が、より良い結果を得られる可能性が高いと判断した。メキースは、ドライバーであるフェルスタッペンが異なる考えを持つことには理解を示しながらも、チームとしては現状維持が最善の選択だったと振り返っている。クリーンエアを生かした戦略を重視レッドブルが重視したのは、前方グリッドからスタートすることで得られるクリーンエアのメリットだった。後方集団では前走車の乱気流によってタイヤ温度が上昇しやすく、タイヤマネジメントも難しくなる。一方、前方を走行できればタイヤへの負担を抑えやすく、戦略の自由度も高まる。さらにマシン全体への負荷も軽減できるため、チームはピットレーンスタートよりもグリッドスタートの方がレース全体で有利になると判断した。判断は結果的に間違っていなかった実際の決勝では、フェルスタッペンはフェラーリ勢に続く3番手を走行していた。アンドレア・キミ・アントネッリが優勝争いの最中にマシントラブルへ見舞われたことも順位に影響したが、少なくともレッドブルの狙いどおり上位争いを続けられる位置にはつけていた。そのためメキースは、「仮にピットレーンからスタートしていたとしても、同じように3番手まで挽回できたとは思わない」と説明し、今回の判断を擁護した。レースを終わらせたのはリヤウイングトラブル最終的にフェルスタッペンのレースを終わらせたのは、セットアップではなく終盤に発生したリヤウイングのトラブルだった。原因はDRSアクチュエーター関連の不具合の可能性が指摘されており、オーストリアGPに続いてリヤウイング関連の問題が発生したことになる。両レースのトラブルは性質こそ異なるものの、いずれもフェルスタッペンの結果を大きく左右した。今回のケースでは、ドライバーが求めたセットアップ変更とチームの戦略的判断が異なる結論となったが、レッドブルは当時の判断は正しかったとの見解を示している。一方で、マシンバランスの改善とリヤウイングの信頼性向上は、今後のタイトル争いに向けた重要な課題となりそうだ。