アービッド・リンドブラッドは、F1メキシコGP初日のフリー走行1回目(FP1)でマックス・フェルスタッペンの代役としてレッドブル・レーシングで走行し、6番手タイムを記録して強烈な印象を残した。角田裕毅(レッドブル)を上回る結果となったが、ローラン・メキース代表は「リンドブラッドは角田裕毅より燃料が軽めだった」と説明し、2人の走行条件には違いがあったことを明かしている。
アービッド・リンドブラッドは、2026年のF1シートをかけた“実質的なオーディション”に挑んだ。レッドブルは今季規定に基づき、両マシンでルーキードライバーを起用。F2を戦う18歳のリンドブラッドは、来季レーシングブルズでの昇格候補として注目を集めている。一方で、今回チームメイトとなった角田裕毅も、そのレーシングブルズのシートを争う直接のライバル。パドック内ではアイザック・ハジャーが2026年にトップチームへ昇格するとみられており、残る2席を角田裕毅、リンドブラッド、そしてリアム・ローソンの3名で争う構図となっている「条件は異なっていたが、アービッドは素晴らしい仕事をした」メキース代表が評価リンドブラッドはFP1で1分18秒台のタイムを記録し、トップのシャルル・ルクレール(フェラーリ)から0.6秒差の6番手をマーク。角田裕毅を0.1秒上回り、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)も抑える走りを見せた。セッション後、レッドブルF1のローラン・メキース代表はSky Sportsに対し、2人の走行プログラムが異なっていたと説明した。「少し異なる走行プランを採用した。アービッドには複雑な要素を減らすため、やや軽めの燃料を積んで走らせた。非常に良い仕事をしてくれたよ。このような状況で走るのは本当に難しいが、彼の速さは確かに示された」さらにメキースは、「順位表は多少誤解を招くかもしれないが、彼(リンドブラッド)のポテンシャルは間違いなく見えた」と強調。角田裕毅がより多くの燃料を搭載してロングラン中心のプログラムを担当していたことを明かしつつも、リンドブラッドの適応力とスピードを高く評価した。角田裕毅の去就に新たな影響も今回の結果は、来季レーシングブルズのシート争いにも影響を与える可能性がある。現在、レッドブル陣営ではアイザック・ハジャーのトップチーム昇格が既定路線とされており、残る2席を角田裕毅、アービッド・リンドブラッド、リアム・ローソンが争う状況となっている。解説者のカルン・チャンドックは、「レーシングブルズにとって最も理想的なのは、リアム・ローソンと角田裕毅のコンビだ」と主張し、経験と安定性を重視する姿勢を見せた。一方で、ラルフ・シューマッハは「角田裕毅にとってはすでに“ゲームオーバー”かもしれない」と厳しい見方を示し、「チームはまだ決定していないように装っているが、実際には彼を奮起させるための戦略だ」と語っている。アルピーヌF1チームも2026年に向けて空席を1つ残しており、フランコ・コラピントとポール・アロンの間で争われているとされる。もし角田裕毅がレッドブル系列でのシートを失えば、2024年末にチームを離れたセルジオ・ペレスと同様に、トップチームから一転してシートを失う可能性も否定できない。分析:リンドブラッドが見せた「軽燃料以上の価値」ローラン・メキース代表の言葉どおり、リンドブラッドは軽燃料だったとはいえ、その中で見せた走りは極めて印象的だった。初めてのメキシコで、しかもフェルスタッペン仕様の最新RB21を操りながら、安定したペースでプログラムを完遂。メカニカルな安定性を保ちながら限られた周回でスピードを引き出す能力を示した。角田裕毅が重い燃料で異なる走行目的を担っていたとはいえ、数値上でリンドブラッドが上回ったことは、若手育成を重視する現レッドブル体制の中で大きな意味を持つ。18歳という年齢に似合わぬ成熟したフィードバック力と冷静さを備えたリンドブラッドは、レーシングブルズ昇格に向けて確実に一歩前進した。
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