レーシング・ポイントは、メルセデスが2019年にタイトルを獲得したマシンをコピーして競争力のあるF1マシンを生み出すために、メルセデスから“データ”と“図面”を受け取ったに違いない。そう語るのはレッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコだ。先週、元F1チーム代表のコリン・コレスは、レーシング・ポイントがメルセデスから60%の風洞モデルと実物大のショーカーを入手したと主張していた。
ルノーF1がレーシング・ポイント RP20のブレーキダクトを抗議した“ピンクメルセデス”論争は、FIAが競技規約に反する設計プロセスを採用しているとして40万ユーロ(約5000万円)の罰金とコンストラクターズ選手権における15ポイントの剥奪という罰則を下して収束すると思われたが、ルノーF1とフェラーリはその裁定を不服として上訴。レーシング・ポイント側も写真に基づいて設計しただけだという主張を曲げておらず、この件は国際控訴裁判所で審議されることになっている。ヘルムート・マルコは「もちろん、写真以上のものが必要だ」と Der Spiegel にコメント「あのような同等のコピーには、メルセデスからのデータと図面が必要だ。レーシング・ポイントがやったこと、そして、メルセデスがやったことには、2人の加害者がいることになる。FIAはこれから明快さを提供しなければならない」と彼は言った。ヘルムート・マルコは、2019年のF1エンジンの合法性スキャンダルに関するフェラーリとFIAとの秘密の取引についても苛立ちを感じている。「誰もそれを理解していない」とヘルムート・マルコは主張する。「違反がなければ、取引するの必要はない。実際、オーストリアでのシーズン開幕戦でフェラーリエンジンを搭載したすべてのマシンが突然1周あたり0.8〜1.2秒遅くなった」「コンストラクターズ選手権でフェラーリが2位を失えば、レッドブルは3位の場合よりも2000万ドル(約21億円)多く受け取っていた」「それはこのコロナ危機から利益を生む者がいることを示している」とヘルムート・マルコは皮肉った。