ピレリが、2014年 第17戦 F1アメリカGPが開催されるサーキット・オブ・ジ・アメリカズをタイヤメーカーの観点から解説した。2012年に新設されたテキサスのサーキット・オブ・ジ・アメリカズは、F1カレンダー中で最も新しい部類に入るサーキット。アメリカGP用としては初めて、今年はミディアムとソフトコンパウンドが選択された。(過去2年は、ハードとミディアムが選択されていた)
この用途の広い2014年型タイヤの組み合わせは、3本の長いストレートと数多くのテクニカルなコーナーが存在するトラックの多様な厳しさに対応する。テクニカルなコーナーの中には、タイヤに大きな負荷を課す長いヘアピンのターン1をはじめ、シルバーストンや鈴鹿を思い起こさせる高速の切り返しがあります。20のコーナーと印象的な高低差によって、オースティンのコースは、適正なブレーキングポイントを見出すことが難しいスタート直後の上り勾配でのブレーキングなど、ユニークかつ多忙なものとなっている。これらの要素の組み合わせが、オースティンをエキサイティングなトラックにしている。アメリカGPが、今シーズン最後の2連戦のスタートとなるため、各チームは、この後、ブラジルのインテルラゴスへと直行する。ブラジルでもミディアムとソフトが選択されている。3本の長いストレートはタイヤをクールダウンさせ、タイヤ温度がわずかに低下するため、ブレーキングエリアが極めて重要になる。また、再度コンパウンドに迅速に熱を入れる必要があることから、高速コーナーへのターンインにも影響を及ぼす。ミディアムタイヤは作動温度領域が低く、広範囲の低い温度条件下でも最適な性能を発揮できるコンパウンド。ソフトタイヤは、対照的に作動温度領域が高く、高温のコンディションに適したコンパウンド。昨年のアメリカグランプリ週末中には、路面温度が18℃〜37℃までと広範囲に渡って変化した。ストレートとコーナーが混在するため、ダウンフォースに関しては妥協点を見出し、タイヤからのメカニカルグリップに力点を置く必要がある。長いターン1やラップ前半の高速の切り返しに加え、ターン11もまたタイヤに大きな負荷を課す。マシンのコーナー進入時にブレーキングが開始され、タイヤへの負荷は不均等に分散される。昨年の勝利戦略は1ストッパーだった。レッドブルのセバスチャン・ベッテルは、ミディアムコンパウンドでスタートし、27周でハードタイヤへ交換した。上位12名が全て1ストップ戦略を採った。ポール・ヘンベリー (ピレリ・モータースポーツ・ダイレクター)「アメリカは、全ての自動車関連会社と同様に、ピレリにとって鍵となる市場です。ファンタスティックなレースの開催地であるオースティンに戻ってこられたことをとても嬉しく思います。新設から3年を経て落ち着いたトラックの路面は、理論的には過去2年間よりも良好なグリップを提供するはずです。フリー走行後のデータを確認する必要がありますが、ミディアムとソフトの組み合わせによって2ストップのレースになると予測しています。天候に左右される部分が大きいでしょう。11月のレースとは言え、温暖で変化に富むコンディションの可能性があり、熱によるデグラデーションが重要な要素になるでしょう。今年の新世代マシンが摩耗と全体的なデグラデーション、ひいてはレース戦略にどのような影響を及ぼすのか、実際の走行によって初めて明確になると思います。過去2年間は、ともに1ストップが勝利戦略となりました。また、アメリカグランプリはシーズンの終盤に行われるので、各チームは、タイヤを最大限に活用することに関しての知識を確立した上でこのグランプリに臨みます」ジャン・アレジ (ピレリ・コンサルタント)「オースティンは、ドライバーにとってとりわけエキサイティングなサーキットです。ターン1へのブレーキングでは、アタックしオーバーテイクするチャンスがあります。またS字コーナーでは、多様なレーシングラインを走行することが可能です。数多くのオーバーテイクの機会が、このグランプリを退屈させない素晴らしいものにしています。もうひとつの重要な要素は気温の変化です。過去2年間、午前中は寒く、予選時は暑くなりました。このため、アメリカグランプリにおいて、タイヤを適正な作動温度領域に入れることがドライバーにとっての課題のひとつとなっています」
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