ムジェロ・サーキットはスタート前からイエロー・スモークに覆われていた。Movistar Yamaha MotoGPのバレンティーノ・ロッシは終始ファンの目をくぎ付けにし、5台による熾烈な3位争いを制してランキング2位に浮上した。チームメイトのマーベリック・ビニャーレスは序盤でペースが上がらず苦戦したが、後半で挽回して8位となった。
バレンティーノ・ロッシはポールポジションから好スタートを切り、ホルヘ・ロレンソに続く2番手で第1コーナーへ。マルク・マルケスが3ラップ目にバレンティーノ・ロッシをパスしたが、その2ラップ後には転倒して後退した。これで再びトップを追う展開となったが、後続も激しいプッシュを開始。16ラップ目にバレンティーノ・ロッシがコーナーではらむ間にアンドレア・ドヴィツィオーゾとアンドレア・イアンノーネが先行し、背後にはダニロ・ペトルッチとアレックス・リンスが迫って来た。バトルのなかで一旦は5番手へ後退したが、リンスの追撃を抑えながらイアンノーネとペトルッチをパス。残り9ラップではリンスに先行を許すも、後ろにつけてチャンスを窺い、17ラップ目と18ラップ目に続けてトライして3位を奪い返した。終盤にはイアンノーネが再び激しく迫り第1コーナーで仕掛けてきたが、バレンティーノ・ロッシはしっかりとラインを抑えて3位でチェッカー。この結果、グランプリ・ライダーとして初めて通算獲得ポイントが5,000ポイントを超えた(合計5,005ポイント)。一方のマーベリック・ビニャーレスはグリッド3番手からやや出遅れ、集団に飲み込まれる格好で第1コーナーへ。ハード・コンパウンドのタイヤが暖まるまでに時間がかかったこともあり、なかなかペースが上がらず11番手まで下げて1ラップ目を終了した。その後、徐々にリズムをつかむとヨハン・ザルコを追ってゆき、9ラップ目に自己ベストを記録したあと10ラップ目でザルコをパス。ここからは単独走行となり、4秒ほど離れた前のライダーを追ってゆく。1分48秒台をキープしながら周回を重ねるごとに自信をつけ、ついには3位集団まで近づいた。さらにポジションを上げたいところだったが、すでにタイヤを消耗していたためアタックならず。トップから11.060秒差の8位でチェッカーを受けた。Monster Yamaha Tech3のヨハン・ザルコはトップ10を目指してスタート。すぐさま第2グループに入ってバトルを展開し、貴重な6ポイントを獲得した。チームメイトのハフィス・シャーリンは、今回もトップ・ルーキーを目標に非常に力強い走り。最終ラップではさらに1台をパスして12位を獲得。これで4ポイントを手中にし、ランキングではライバルのフランコ・モルビデリと並びルーキー勢トップタイに返り咲いた。3位獲得のバレンティーノ・ロッシはシリーズポイントを合計72に伸ばしてランキング2位に浮上。マーベリック・ビニャーレスは5ポイント差の3位で続いている。ヤマハはコンストラクターズ・ランキングで2位をキープし、トップを22ポイント差で追う。Movistar Yamaha MotoGPはチーム・ランキングでトップに返り咲き、2位に15ポイント差をつけている。次回は2週間後の6月15日~17日、マーベリック・ビニャーレスのホームレースとなるスペインGPがカタルニア・サーキットで開催される。Movistar Yamaha MotoGPバレンティーノ・ロッシ (3位)「非常に厳しいレースでした。フロントにハード・コンパウンドを選択していたため、十分なグリップが得られないことはわかっていました。そのなかでミスをしないように心がけ、それだけでも難しいことだったのですが、同時に表彰台争いのグループから離されないようにしなければなりませんでした。彼らはソフト・コンパウンドを履いていたので、終盤になれば私のほうが有利になるのではないかという望みも持っていました。そして実際にその通りになったのです。イアンノーネがあきらめずに追って来たので、最後の最後まで気を抜くことはできませんでしたが、最終的にはこうして目標としてきた表彰台を獲得することができました。ムジェロでこのような結果を出すことができて、とってもハッピーです!」マーベリック・ビニャーレス (8位)「昨日のフリープラクティス第4セッションまではとても好調だったのですが、今朝のウォームアップ・セッションからマシンのフィーリングが変わってしまいました。とくに序盤はほとんどすべてのコーナーでフロントが安定しない状態で、なかなかペースが上がりませんでした。10ラップ後にはそれも解消されてラップタイムでは上位と同等まで上がって来ていたのですが、すでにタイヤを消耗していたため表彰台争いに追いつくことはできませんでした。でも、そのような状態でも、いつもと同じように最後までベストを尽くしました」マッシモ・メレガリ (チームディレクター)「今日はタイヤ・チョイスが非常に重要な役割を果たしました。私たちはタイヤ剥離を避けるためにハード・コンパウンドを選択したのですが、これがライダーに最大のグリップを提供するものでないことはわかっていました。そして実際、前半は非常に厳しい戦いになってしまいました。しかしバレンティーノはそのなかでもしっかりとタイヤをコントロールし、同時に表彰台圏内をキープし続けたのです。これによって、彼のハード・タイヤがライバルたちに優るようになったとき、3位を奪い返すことができました。 マーベリックのほうはスタートで出遅れ、グリップ不足もあり順位を下げてしまいました。ハード・タイヤが機能し始めるとコンスタントに1分48秒台をキープし、前のグループとの差を詰めていきました。しかし彼らに仕掛けるにはすでに遅かったのです。チームとしてはパーフェクトとはいきませんでしたが、ライダーおよびコンストラクターのランキングで前との差を詰め、またチーム・ランキングでトップを奪い返すことができたことに満足しています。次もまた、しっかりプレッシャーをかけていけるよう頑張ります」Monster Yamaha Tech3ヨハン・ザルコ (10位)「ムジェロはすべてにおいて難しい戦いとなりました。とくに土曜日以降は非常に苦しい状態で、決勝でも良いフィーリングをまったく得られないまま終わってしまいました。そのなかでも、できるだけ多くのポイントを持ち帰るろうと最後まで走り切ったのですが、パーフェクトの状態からはほど遠く、すべてのコーナーで苦戦させられ本当にがっかりです。今回のような厳しい状況は非常に稀なこと。今日のことは早く忘...
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