2018年MotoGP最終戦のバレンシアGPは天候に翻弄されて数々のドラマを生むこととなったが、チームスズキエクスターは第16戦日本GPからの連続表彰台記録を切らすことなく、アレックス・リンスが再び表彰台を獲得して有終の美を飾った。この週末のバレンシアは例年とは違い、寒くて雨に祟られるトリッキーなコンディションとなり、決勝もウエットレースでスタート。リンスは2番手グリッドから素晴らしいスタートを決め、ファステストラップを更新しながら徐々に後続を引き離してトップを独走。
チームスズキエクスターでの最後のレースとなったアンドレア・イアンノーネも、3列目グリッドから良いスタートを切ってセカンドグループにつけ、徐々にペースを上げながらトップブループに近づく。しかしその後、雨が降り始め、ライダー達が次々と転倒。イアンノーネもその犠牲者のひとりとなり、5番手走行中の9周目に転倒し、そのまま痛恨のリタイヤとなった。雨はその後さらに強くなり、走行継続が危険と判断されて15周目に赤旗中断となった。しかしレース成立周回数を満たしていなかったため、コースコンディションの回復を待って14周のレースが再スタートした。赤旗中断された時点でのグリッドオーダーで、リンスはポールポジションからスタート。路面は変わらず濡れていたものの、リンスは再びホールショットを決める。しかし、その後再び雨が降り始め、ドビツィオーゾ(ドゥカティ)とロッシ(ヤマハ)にオーバーテイクを許して3番手までポジションを落とす。路面コンディションは変わらずトリッキーな状態で、リンスがポジションを維持しつつプッシュを続けている最中、2番手走行中のロッシが転倒。最後まで予想がつかない厳しいコンディションのレースを、若手リンスが見事なレースマネージメントを見せて2位でチェッカー。自身のシーズン5度目の表彰台、そしてチームスズキエクスターにとってはシーズン9度目の表彰台を獲得した。河内 健 テクニカルマネージャー「日本GPから4連続表彰台、オーストラリアGPからは3戦連続2位と、この好結果に非常に満足しています。このプロジェクトに関わって頂いている全ての方々に今年1年間のお礼を改めて伝えたいです。アンドレアは今日がスズキでの最後のレースだったのですが、残念ながら転倒・リタイヤとなってしまいました。しかし転倒までのパフォーマンスは決して悪いものではありませんでしたし、ポジティブな部分もあったと思っています。彼と一緒に働いた2年間を私は決して忘れませんし、彼には心からお礼を言いたいです。我々チームとしてはオーストラリアGPから2位表彰台が3回続き、今シーズン中にどうしても優勝したいと願っていたのですが、残念ながら叶うことなくシーズンが終わってしまいました。まずはこれを来年の目標に置き換え、しっかりシーズンオフにマシンを作り込み、来シーズンは開幕戦から良い戦いができるよう準備していきたいと思います。シーズン中多くのサポートを頂き、本当にありがとうございました。」ダビデ・ブリビオ チームマネージャー「シーズン最終戦で表彰台を獲得でき、とても良い形で1年を終えることができました。トータル9度の表彰台はスズキがMotoGPに参戦して以来のベストリザルトなので、このチームとライダー達をとても誇りに思います。9度のうち4度の表彰台はアンドレアが獲得したもので、今日は彼にも5度目の表彰台を獲得できる可能性が十分にあったと思うので、転倒・リタイヤという結果に終わってしまったことが残念でなりません。彼のこの2年間の功績に改めてお礼を言うと共に、彼の今後の活躍にエールを送りたいと思います。アレックスに関しては決勝の難しいコンディションの中、冷静に、そしてリスクヘッジをきっちりしながら2位でフィニッシュしたことにむしろ我々自身が驚いているくらいです。赤旗中断となってレースが2回行われたわけですが、そのどちらのレースも完璧にコントロールし、今日の彼のパフォーマンスには本当に満足しています。後半戦はポジティブな内容が多かったので、この状態を維持しつつ、充実したシーズンオフを迎えて、来年また新しいチャレンジができることを願っています。」アレックス・リンス「最高のウィークエンドになって本当に嬉しいよ。赤旗中断前の最初のパートでは、スタートから12、13周後ろを引き離してトップを独走できたんだけど、雨が降り出してからペースが維持できなくて、ドビツィオーゾとロッシに追い上げられてしまった。今日は表彰台を獲得してチャンピオンシップを5位で終えることが最大の目標だったから、赤旗後の再スタートした後半のレースも同じように、とにかく良いスタートをして、できるだけ後ろとのギャップを広げようと思って全開でプッシュしたよ。シーズン最後のレースで目標通り表彰台を獲得できて満足しているよ。今シーズンは色々なことを学び、経験もたくさん積むことができたから、来シーズンが今から楽しみで仕方ないんだ。」アンドレア・イアンノーネ「チームのためにも自分自身のためにも良い形でシーズンを終えたかったのに、それが叶わなくて本当に残念な思いだよ。序盤ちょっと順位を落としちゃったんだけど、順調にペースを上げてトップグループの後方に追いついたところで雨が降り出し、リアタイヤが滑って転倒してしまった。でもベストを尽くしたから悔いはないよ。今シーズンの結果は自分が望んだものには遠かったけど、この2年間、素晴らしい仲間と素晴らしいチームで仕事ができたことに本当に感謝しているんだ。明日からはまた新しいチャレンジが始まるけど、アレックスとスズキの新しいライダーとなるジョアン・ミール、そしてチームの今後の活躍を願っているよ。」
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