メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、ライバル関係にあるルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの関係を管理するのは容易ではないことを明かした。トト・ヴォルフは、特にスペインGPとオーストリアGPでの同士討ちが、二人の関係に影響を及ぼしたと考えている。それを受けてメルセデスは長いミーティングを開き、今後ドライバーが守るべき新たなルールを設けたが、二人がそれにが従う保証はない。
「今シーズン前半戦を振り返れば、ポジティブな内容だった。なぜなら、我々が勝ちたいと思っていたレースで勝利ができたからね」とトト・ヴォルフはコメント。今年、メルセデスは前半戦の12戦中11戦で勝利を収めている。「ただ、論争とライバル関係というものは簡単に制御できるものではない。これが同等の機材と機会を与えられた二人のナンバー1ドライバーを抱えた結果であることは受け入れており理解もしている。だが、対処には多くの時間を要し、影響も長く続く」「ポジティブな部分は、毎週末、同士討ちが発生しなければ、今シーズンのチャンピオン争いにストーリー性を持たせることができることだ。私の考えはクリアになっている。同士討ちやヘッドラインに載るようなことは避けたい。レースに勝ちたいだけだ、我々はエンターテイメント業界にいるんだろうね」トト・ヴォルフは、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが互いへの脅威が少ない場合に、より事故のリスクが高まると分析している。「多くの場合は1列目だが、チームメイト同士が常に同じグリッド列についていると、レースでの勝利やチャンピオンをかけて戦うことになり、台無しになる可能性が出てくる」とトト・ヴォルフは語る。「来シーズンはまったく異なる一年だ。おそらくは4〜6人、もしくはもっと多くのドライバーとの戦いになるだろう。そうなれば、チームメイトの二人は離れて戦うことになる。良い傾向ではあるが、退屈になる可能性もある」ニコ・ロズベルグの契約延長が発表され、現在のコンビは2018年末まで続くこととなった。メルセデスの二人は、3年半にわたってライバル関係にあり、トト・ヴォルフはその2年半をともにしているが、少なくとも“メリットがデメリットを上回っている”と感じている。「競争力のあるマシンでタイトルを賭けて戦うことができている。我々のマネージングがうまくいっていることを誇りに思う」とトト・ヴォルフはコメント。「これまで二人は4シーズンをともに過ごしてきた。歴史を振り返れば、2年以上続いた例はほとんどない。ライバル関係がパフォーマンス面に与えるプラス面と二人の素晴らしいドライバーが互いにプッシュしあって新たなレベルに到達するという部分とでうまくバランスを取る必要がある。そして、マシンも速くしなければならない」「ライバル関係でのデメリットは、それがチーム内に波及してチームの士気を損なうことだ。それについても、継続的にバランスを考えている。今のところ、問題はない」