ジャック・ドゥーハンが、2026年にF1デビューを果たすキャデラックF1チーム入りを巡って注目を集めている。新規参戦するキャデラックF1チームがどのドライバーを起用するかに関心が集まる中、ドゥーハンは有力な候補の一人として名前が挙がっている。
PlanetF1.comの情報によれば、英国GPの週末にドゥーハンの父であり元二輪世界王者のミック・ドゥーハンが、キャデラックのチーム代表グレアム・ロードンと会談を行ったという。両者は5月のモナコGPでも深い話し合いを交わしている姿が目撃されていた。ジャック・ドゥーハンは現在アルピーヌのリザーブドライバーを務めているが、今季序盤のマイアミGPを最後にレースシートを外れている。その後任にはウィリアムズから移籍したフランコ・コラピントが就任した。コラピントは昨年ウィリアムズで印象的なパフォーマンスを見せたものの、2026年までアレックス・アルボンとカルロス・サインツが契約を持つ同チームでの居場所は限られていた。アルピーヌ加入によりドゥーハンへのプレッシャーは高まり、開幕戦オーストラリアでの1周目クラッシュ、中国での荒れた走り、日本GPのフリー走行中の大クラッシュと、不安定なパフォーマンスが続いた。中東ラウンドでは兆しを見せ、バーレーンでは不運なタイミングのセーフティカーがなければポイント獲得の可能性もあった。しかし、マイアミでの再びのオープニングラップ接触を受け、シートを失った。現在は5戦限定とされたはずのコラピントの起用が実質的に今季終了まで延長されており、ドゥーハンは補佐的立場に回っている。その一方で、セルジオ・ペレスやバルテリ・ボッタスもキャデラックのシート候補として名前が挙がっている。ペレスとの話し合いは来季以降を視野に入れており、ボッタスは即時の移籍も視野に入れているという。両者は豊富な経験から、アルピーヌだけでなくキャデラックにとっても魅力的な選択肢だ。ペレスがチーム初の正式ドライバーとして近日中に発表されるとの報道もあるが、PlanetF1.comが得た複数の情報筋によれば、現時点で契約が成立しているドライバーはいないという。グレアム・ロードン代表は現在も候補リストの精査を続けている段階であり、中国市場に強い販路を持つキャデラックにとって、フェラーリのリザーブを務める周冠宇も有力候補とされる。また、元ハースのミック・シューマッハも「交渉は続いている」と自身のF1復帰の可能性を語っている。このような状況の中で、ジャック・ドゥーハンも候補として名を連ねている。父ミックとグレアム・ロードンとの繋がりは強く、これまでにも複数回の接触があった。一方、アルピーヌは当面コラピントに賭けており、現時点でドゥーハンを中長期的な戦略に含めている様子は見られない。こうした背景を踏まえると、ドゥーハンにとってキャデラックへの移籍は理にかなっている。しかし、グレアム・ロードンにとってドゥーハンが適任かどうかは未知数だ。現在のF1のドライバーマーケットでは、メルセデス、レッドブル系、アルピーヌのガスリーの隣を除けば、事実上キャデラックにしか空席が存在しない。レッドブルはジュニアからの昇格を前提としており、メルセデスもキミ・アントネッリやジョージ・ラッセルを中心に検討している。仮にマックス・フェルスタッペンが移籍する事態があっても、その影響がキャデラックの選択肢に及ぶ可能性は低い。つまり、キャデラックは既存チームとはまったく異なる基準でドライバー選定を進めているのだ。ジャック・ドゥーハンがその枠に食い込めるかどうか、今後の動向が注目される。
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