アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)は、2026年にレッドブル・レーシングへの昇格が決まった場合、シーズン最終戦後のアブダビテストでRB21を走らせたいという強い意欲を示している。今季終盤にかけてレッドブルは来季以降の体制決定を先送りしており、次世代候補と目されるハジャーは「実走機会」を自らの評価材料にしたい考えだ。昨年リアム・ローソンが得られなかった“本拠チームでの走行”を求め、ハジャーは昇格に向けて明確な一歩を踏み出している。
英記者デイビッド・コマーフォードによると、ハジャーは2026年シーズンに向けて“リアム・ローソンには与えられなかったチャンス”をレッドブルに求めているという。ローソンが待たされた交渉と、ペレスの契約解除レッドブルがリアム・ローソンを2025年のドライバーとして正式発表したのは昨年12月中旬だった。当時チームは、セルジオ・ペレスとの契約解除を巡って複雑な交渉を進めており、その完了を待ってローソン起用を発表した形だ。ペレスは同年6月に契約を延長していたが、その後の不振によってチームは高額な違約金を支払って契約を打ち切った。ペレスは当時、「マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして生き残れるドライバーはいない。ルイス・ハミルトンでさえ無理だ」と語っており、チーム内のプレッシャーの大きさを示唆していた。ハジャー、当初の消極姿勢から一転「モータースポルト・イタリア」によれば、ハジャーの昇格に対する姿勢はシーズンを通して変化してきた。8月時点では「時期尚早だ」として昇格に慎重だったが、現在はその考えを改め、昇格を強く望んでいるという。ハジャーは、アブダビで行われるシーズン終了後のテストでレッドブルのマシンに乗ることを希望している。昨年の同テストではカルロス・サインツ、ニコ・ヒュルケンベルグ、キミ・アントネッリ、エステバン・オコン、ガブリエル・ボルトレトらが新チームで初走行を行ったが、ローソンはレーシングブルズのマシンに乗り、レッドブルのテスト機会を得られなかった。「走行距離の差」がローソンを苦しめたローソンはF1デビュー前にレッドブルでわずか149周しか走行しておらず、全ドライバー中でランス・ストロールに次ぐ下から2番目の走行距離だった。その結果、バーレーンのテストでは信頼性トラブルと悪天候により走行計画が乱れ、実戦準備不足のままシーズンに臨むこととなった。ハジャーはローソンよりも経験豊富(F1レーススタート数19戦)だが、同じ轍を踏みたくないと考えているようだ。「アブダビのポストシーズンテストでRB21を走らせたい」という本人の希望は、そうした懸念の表れでもある。2026年のリスクとマーティン・ブランドルの懸念元F1ドライバーのマーティン・ブランドルは、ハジャー昇格のタイミングに警鐘を鳴らしている。「2026年は新レギュレーションが導入され、ドライバーにとって過去以上に複雑なチャレンジになる。経験の浅い若手を即座に投入するのはリスクだ」と語った。また元F1エンジニアのゲイリー・アンダーソンも、「ローソンにはもう一度チャンスを与えるべき」と主張しているが、現実的にはレッドブルが別の若手を抜擢する可能性が高いとみられている。展望:アブダビテストが運命を分けるレッドブルは当初、メキシコGP後に2026年の体制を発表するとしていたが、判断は先送りとなっている。現在の情勢を見る限り、アブダビテストでの走行機会がハジャーの評価を決定づける可能性が高い。ローソンが得られなかった「レッドブルでの実走機会」をハジャーが得られるかどうか──それが、2026年のレッドブル・ラインナップの行方を左右することになりそうだ。
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