インディカー 第16戦 ポートランドの決勝が9月1日(日)に行われ、ウィル・パワー(ペンスキー)が優勝。佐藤琢磨は15位でレースを終えた。アメリカ西海岸北部にあるオレゴン州。ポートランドは州内最大の都市で、その中心部をウィラメット川が流れている。ポートランドインターナショナルレースウェイは街のすぐ北、ワシントン州との州境にあるコロンビア川南岸に作られたフラットなロードコースで、高速から低速までバラエティに富む12のコーナーが1.964マイルという短い全長に配されている。
ここを105周して争われたレースは、4人のHondaドライバーたちが巻き込まれる多重アクシデントで始まった。8番手スタートだったジェイムズ・ヒンチクリフ(Arrow Schmidt Peterson Motorsports)と、彼のチームメートとしてスポット参戦し、9番グリッドを獲得する奮闘を見せていたコナー・デイリーは、レースでの活躍が期待されていたが、その場でリタイアとなった。リスタートが切られたのは12周目。その後間もなく、今度は予選4番手に食い込むすばらしいパフォーマンスを見せ、レースでも好スタートで3番手につけていたジャック・ハーヴェイ(Meyer Shank Racing with Arrow SPM)が、4番手走行中だったライアン・ハンターレイ(Andretti Autosport)と激しく接触し、ハーヴェイは早過ぎるリタイアへと追い込まれ、ハンターレイのマシンはピットエリアで長い時間をかけた修理を受けることとなった。予選でポールポジションを獲得したコルトン・ハータ(Harding Steinbrenner Racing)は序盤の36周をリードした。しかし、彼のキャリア2勝目はならず、予選3番手だったスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)が彼からトップの座を奪った。ハータは最終的に4位でのゴールを達成した。シーズン2勝目を目指すディクソンは、50周を終えた時点で2番手以下に3秒以上の差をつける快走を見せた。ところが52周目、最終コーナー付近で突然マシンが減速し、ピットロードに滑り込むと、自らのピットに到達する前にストップ。トラブルに見舞われたバッテリーを交換してレースに戻ったが、たどり着けなかったピットまでクルーがマシンを押さなければならなかったために大幅にポジションダウンし、エンジンカウルを外しての作業も必要だったために3周もの遅れを取り、結果は16位。これにより、ディクソンがキャリア6回目のシリーズチャンピオンとなる可能性はなくなった。ディクソンのチームメートであるローゼンクビストは、レース中盤に2番手へと浮上し、ウィル・パワー(ペンスキー)を追った。キャリア初勝利に向けての全力での走行を展開したが、パワーをパスすることはできなかった。それでもローゼンクビストは7月のHondaインディー200アットミッドオハイオで記録したキャリアベストの2位に並ぶ好リザルトを獲得した。ローゼンクビストにとって、2位フィニッシュは今回が2回目。キャリアベストに並ぶリザルトを記録し、栄えあるルーキーオブザイヤー獲得に向けたポイント争いでトップに返り咲いた。ルーキーながらシリーズ全体のポイントスタンディングで10番手から8番手へと二つもポジションを上げることとなった。今年のポートランドでのロッシは、優勝争いを行うことはできなかった。しかし、激しいバトルを戦い抜いて3位でのフィニッシュを達成した。35ポイントを獲得し、シリーズポイントを一つ上げ、ランキング2番手に復活。もう残るは9月22日に開催される今シーズン最終戦だけ。カリフォルニア州のモンテレーにあるウェザーテックレースウェイラグナセカへ、彼はポイントランキング2番手のドライバーとして乗り込む。ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデン(シボレー)との差は41点あるが、最終戦はダブルポイントのため、逆転タイトルは十分に可能となる。Hondaはポートランドでも2、3、4位フィニッシュし、マニュファクチャラーチャンピオンシップのポイントで暫定トップを保っている。フェリックス・ローセンクビスト(2位) 「自分たちはすばらしいレースを戦えたと思います。燃費競争ではシボレー勢より優れたパフォーマンスを発揮することができていたとも考えています。今週末の戦いでは、私のチームが本当にいい仕事をしてくれました。ソフトコンパウンドのレッドタイヤで非常に速いペースを示すことができました。しかし、パワーと彼のチームは私たちよりわずかながらハードコンパウンドのブラックタイヤで速かったですね。私たちは5番手スタートで2位フィニッシュが果たせたのですから、力強いレースを戦い抜いたと言ってよいと思います。そして、今シーズン中に初優勝を飾るチャンスが残されています。ラグナセカでのレースで優勝するために、2週間ほどあるインターバルではフォーカスを新たにして準備を整えたいと思います」アレクサンダー・ロッシ(3位) 「私がもっと多くのポイントを獲得したかったのではなく、ポイントリーダーのジョセフ・ニューガーデンがもっと少ないポイント獲得で終わることを望んでいました。今日の私たちは、残念ながらレースで勝てるマシンを仕上げることができていませんでした。カーナンバー27のクルーたちはすばらしい仕事をしてくれました。自分たちの持つ力のすべてを発揮し、マシンから最大限を引き出していました。7番手スタートから3位フィニッシュで表彰台に上れたのは、チームの奮闘があってのことでした。私たちはポイントリーダーをはじめとする、タイトル争いのライバルたちよりも前の順位でゴールしたのです。最終戦ラグナセカでの週末は、非常に緊張感の高いものとなるでしょう。しかし、私はそれをとても楽しみにしています」佐藤琢磨(15位) 「スタート直後のターン1、私に見えたのは大混乱だけでした。すべてを避けようと全力でトライしました。しかし、左側にもマシンがいたため、そちら側に逃れることもできませんでした。残念なことに、私の内側にいたマシンがこちらに向かって来て、避けられずに接触しました。私たちのマシンはサイドポッドに大きなダメージを受けました。空力的に悪影響が大きく、サスペンションのトウリンクも壊れてしまい、その修理をしている間に2周の周回遅れになってしまいました。レースに復帰してからの自分たちはできる限りのことをトライし、リタイアしたマシンもあったため、ポジションをいくつか取り戻すことはできました。しかし、本当に残念な週末となりました」Pos.No.DriverTeam 112W.パワーチーム・ペンスキーC210F.ローゼンクヴィストチップ・ガナッシH327A.ロッシアンドレッティ・オートスポーツH488C.ハータハーディング・スタインブレナーH52J.ニューガーデンチーム・ペンスキ...
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