ホンダ・レーシング(HRC)は、2023年以降のレッドブルF1への支援内容は「現在協議中」だと語った。ホンダは、昨年末にF1から撤退。今年からレッドブルの両チームは、レッドブル・パワートレインズの名前が付いたF1エンジンを搭載しているが、現時点ではまだ独自のエンジンメーカーになる移行期間であり、HRCを通じてホンダが依然としてF1パワーユニットの組み立てとメンテナンスに関与している。
当初の契約は2023年までだが、レッドブル・レーシングのF1チーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、2023年以降もホンダとの関係を継続したいと語っていた。「ホンダは、彼らの技術を使い続けることを可能にしてくれたことは、我々にとって非常に良いことだった」とクリスチャン・ホーナーは語った。「2023年、2024年、2025年に関しては、現在の関係を継続することについてホンダと話し合っている」4月23日(土)、ホンダ・レーシング(HRC)は、SUZUKA 2&4レースが開催されている鈴鹿サーキットで、新体制について記者発表会を開催。これまでホンダの2輪レース活動を運営してきたHRCは、昨年10月に4輪レース活動機能を統合することを発表したが、その後体制作りが整い、今年4月1日より新しい経営体制での活動を開始している。今回の記者発表会には、HRC代表取締役社長 渡辺康治、取締役/2輪レース部長 若林慎也、常務取締役/4輪レース開発部長 浅木泰昭、取締役/企画管理部長 長井昌也が登壇し、HRCの今後の運営方針について説明した。新生HRCでは、埼玉県朝霞市を拠点とする2輪レース部と、栃木県さくら市を拠点とする4輪レース開発部がふたつの柱となって活動。2輪レース部は、従来どおり2輪レースマシンの開発とレース運営、レース専用バイクの販売を継続し、4輪レース開発部は、これまでのHRD Sakuraを母体に、モータースポーツ用エンジンおよび車体の開発を行なうことになるHRCは、実現を目指す4つのポイントは説明した。(1)モータースポーツ活動を通じたHondaブランドのさらなる高揚世界的な知名度を持つ2輪におけるHRCブランドのアドバンテージをベースとして、4輪モータースポーツ領域においてもHRCブランドの浸透をはかり、Hondaのブランド価値向上を図る(2)持続可能なモータースポーツを実現するカーボンニュートラル対応2輪と4輪のモータースポーツ開発体制を統合することで、電動化・カーボンニュートラル燃料化の技術を効率よく磨き、Honda製品や将来技術に活かしていく役割を担う。(3)モータースポーツのすそ野を広げる活動への注力ホンダ・レーシング・スクール(HRS)から実戦まで、一気通貫で指導できる体制を構築し、世界中のさまざまなカテゴリーで活躍できるライダー/ドライバーを育成。また、一般ユーザーが身近に楽しめるカスタマーレースについても、ハード/ソフトの両面においてHRCが大きな役割を果たしていく。(4)2輪・4輪事業への貢献すでにHRCブランドの市販モデルを販売している2輪と同様に、4輪領域においても事業との連携を強化し、モータースポーツイメージを活用して製品魅力の向上を図る。以上の4つのポイントを実現するため、HRCは2輪・4輪の分野でそれぞれが持っている技術・ノウハウの相互連携と運営の効率化を図り、“より強いレースブランド”を目指してモータースポーツ活動に取り組んでいく。そして、ホンダのDNAであるモータースポーツを、将来に向けて確実に継承できるよう強い基盤を築いていく。また、昨年末をもって終了したF1活動については、レッドブルレーシングとスクーデリア・アルファタウリに対してパワーユニット供給を行なっているレッドブル・パワートレインズからの要請に基づき、HRCがパワーユニットの組み立て協力やレーストラックサイドでのサポートサービスなどの技術協力を行なっている。2023年以降の支援内容については「現在協議中」とした。今回の記者会見にはHRCの契約ライダーである名越哲平、契約ドライバーである野尻智紀が同席した。名越哲平は「このような形でこの場に居られることを誇りに思います。HRCが2輪と4輪を統合した体制になることにより、技術面のみならずさまざまな面が今まで以上に充実すると期待しています。ライダーとしてはドライバーの皆さんからたくさん学んで成長していこうと思います」と述べた。また、野尻智紀は「HRCが新体制となって、今まで2輪しか観ていなかったファンの皆さんが4輪レースも観ていただけるような機会、あるいはその逆の機会が増えたらいいなと思っています。その結果モータースポーツがさらに盛り上がってくれたらうれしいです。新しいHRCは強いよね、熱いよね、HRCが大好きだ、と思ってもらえるようなレースをしていきたいと思っています」と語った。