ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は、F1アメリカGPでフェラーリのスピード面の優位性が低下していたのは“明白”だったが、早急な結論を下すことには慎重になっていると語る。レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンを含む一部の人々は、フェラーリのパフォーマンスの低下は燃料流量の合法化に関するFIAの技術指令の結果であると示唆。フェラーリはそれらの発言に激怒しつつも、明確なレースペース不足を説明することに途方に暮れていた。
フェラーリによると、シャルル・ルクレールは、予選で旧型のスペック2エンジンに戻していたこと、そして、サーキット・オブ・ジ・アメリカズの特性に合わせてトップスピードよりもコーナリングを重視したセットアップを採用していたことをその理由で上げている。しかし、理由は何であれ、フェラーリのストレートでのパフォーマンスはレッドブル・ホンダと比較して以前ほど強力ではなかったと語る。「シャシーのドラッグとエンジンのパフォーマンスを分離することはできません。スピードだけを見ると、フェラーリと我々とのギャップは以前のレースよりも縮まっていました」と田辺豊治はコメント。「それは明白です。ですが、それがエンジンだけから来たのか、それともシャーシから来たのかはわかりません」「彼らのレースペースは以前ののレースほど強くはありませんでした。このトラックにためのパッケージが違っていたのか、もしくは十分ではなかったことを意味します」「私にはわかりません。しかし、トップスピードの違いはわかります。」技術指令をめぐる論争は、燃料流量センサーシステムとパワーブーストを得るために規則を破っている可能性のある方法について、レッドブル・ホンダからFIA(国際自動車連盟)に問い合わせをした結果だった。レッドブル・ホンダは、FIAに燃料流量計の信号フィルタリングに関する明確化を要求する書面を送り、FIAはそこに概説された3つのシナリオは合法ではないと判断。それにより、全F1チームに技術指令の形で通知された。マックス・フェルスタッペンやルイス・ハミルトンといったドライバーは、フェラーリのパフォーマンスの低下をFIAの反応に結び付けたが、田辺豊治は1つレースだけで結論を導き出すことには慎重になっていると語る。「ブラジルとアブダビでデータを得る必要があります。そうすれば何かを見つけられるでしょう。そうでなければ、今回のレースだけから知ることはできません」と田辺豊治はコメント。F1アメリカGPではマックス・フェルスタッペンが、ルイス・ハミルトンを追い詰めたが、残り2周で提示されたイエローフラッグも影響して捕えることができず3位でフィニッシュ。前戦F1メキシコGPでは、レースは序盤のルイス・ハミルトンとの接触とその後のパンクによって台無しにはなったものの、マックス・フェルスタッペンが予選でトップタイムを記録している。田辺豊治は、レッドブル・ホンダのメキシコでのパフォーマンスは驚きだったとし、アメリカでも競争力を発揮できたことも予想外だったと認める。「再び、このような僅差の予選タイムとマックスの2列目は期待していませんでした」と田辺豊治は認める。「夏休みの前に上位勢との差は縮まりましたが、夏休み後はフェラーリが大きく改善しました」「今は3チームすべてが拮抗しています。ですが、残りについてはわかりません。ブラジル、アブダビでメルセデスとフェラーリに対する我々のパッケージのパフォーマンスと競争力がわかるでしょう」