ホンダF1は、F1フランスGPで“スペック3”エンジンを投入したが、レッドブルのドライバー陣は一様にそのパフォーマンス向上については控えめなコメントをしている。ホンダは、F1フランスGPで“スペック3”版のPU(パワーユニット)を搭載。パフォーマンスの向上を図るためにICEとターボのアップデートが行われ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリー、そして、トロロッソのダニール・クビアトの3台に導入されている。
“スペック3”導入のリリースのなかで、ホンダのF1エンジンは小型シェット機“ホンダジェット”を開発した航空エンジン研究開発部門の技術が適用されることが明らかにされて話題を呼んだが、そのなかでもまだメルセデスやフェラーリのパフォーマンスレベルに至っていないことが語られている。田辺豊治は「今回のアップデートではまだ上位のPUマニュファクチャラーに追いつくだけのパフォーマンスレベルには至っていないと考えていますので、引き続きホンダとして総力を挙げて開発を続けていきます」とコメント。レッドブル・ホンダのピエール・ガスリーは、スペック3で得られるゲインについて「前回導入したとき(スペック2)はもっと信頼性に比重が置かれていたけど、今回はもっとパフォーマンスに比重が置かれている。でも、そこから大きなゲインが得られるとは期待していない」とコメント。「全体的なパフォーマンスは少し向上すると思うけど、大きな変化や僕たちの前にいるチームに大きく近づけるものではない。レースではもう少し多くのパフォーマンスが得られると思う。予選では大きな違いはないだろうけどね。レースでは少し得られるだろうね」マックス・フェルスタッペンも「彼らは常に小さなステップを果たしている」とコメント。「僕たちはパワーでフェラーリと同等になるためにはまだいくつかステップを果たす必要があることはわかっている」ダニール・クビアトも「どれくらいパワーが向上するか見てみよう。予想よりも多くのパワー増加であることを願っている。でも、いずれにしろ、僕たちが話しているのは小さな数値だ。これによって世界が逆さまになるようなことはないと思う」と語っている。ホンダの“スペック3”の投入が明らかになる前、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコもF1フランスGPでのパワー向上は小規模なものだと語っていた。「我々はパワー面で遅れをとっている。だが、ポール・リカールで新しいエンジンを得ることになる。それは必ずしも大きなステップではない。それを得られるのはモンツァになるだろう。だが、ホンダは追いついている」とヘルムート・マルコはコメント。「モンツァでエンジンナンバー4が登場する。パフォーマンス向上がそれほど大きくなければ、我々は早めにペナルティを受け入れることができる。ホンダから得ている数値によれば、それはリアルなブーストだ」F1フランスGPの初日のフリー走行ではレッドブル・ホンダはマクラーレンにも先行を許してしまった。だが、まだ“スペック3”はセッティングを進めている段階だ。ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は「新しく投入したスペック3のセッティングも順調に進めることができました。今晩、さらに細かい部分のデータを分析し、明日の予選とレースに備えます」とコメント。ピエール・ガスリーもスペック3の効果については「新しいホンダのPUについては、まだはっきりとフィードバックできるほど時間をかけて走行できていないけど、さらにポテンシャルを引き出せるよう今夜努めていきたいと思う」とコメント。「現状の感触はよく、信頼性も問題ないので、あとはパフォーマンス面でチームが求めていることを発揮できているかを調べる必要がある」