ホンダF1が、F1ブラジルGPでのトロロッソ・ホンダのレース週末を振り返った。2018年シーズンは終盤を迎え、残りあと2戦となった。ブラジルGPの舞台となるインテルラゴス・サーキットは、1周が4.3kmと短いながら、高速セクションと低中速のミドルセクションが組み合わされたマシンの良し悪しやセッティングが試される難しいコースだ。加えて標高が800mを越え、例年天候が不安定な状況が多いことでも知られている。
トロロッソ・ホンダは、今回、鈴鹿で使用したものと同様の最新スペックのパワーユニット(PU)を搭載し、戦いに挑んだ。ブラジルGPのコースについてホンダF1の副テクニカルディレクターを務める本橋正充はこう説明する。「ブラジルと言えば、駆け上がってくるメインストレートが有名なので、パワーサーキットのイメージが強いですね。ただ、そこだけではなく、その前にある低速、中速のところも重視する必要があります。そうでないと、最後のストレート、そしてホームストレートに入ってくるときの車速の伸びが全く変わってくるので、前半の高速区間、その後ろの低中速区間というのを含め、全体で考えた場合、一概にパワーサーキットとは言えないですね」「そういう意味では難しいコースですが、かといってエネルギーマネージメントやドライバビリティーなどがキツイかというと、そうでもありません。ただし、実際に走行してみて、チームや車体側がどのセクション、どのコーナーにターゲットを合わせてセットアップしてくるかにもよって、PU側もそれにきちんと応えられるセッティングを出す必要があるので、レースウイークの中でいろいろなトライをしなければいけないサーキットです。そのあたりの臨機応変な対応がポイントになるでしょう」「全体としては、1周の距離も短いですし、エネルギーマネージメントを含め、PUとして課題の多いサーキットではないです。また、若干標高は高いんですが、メキシコほどではないので、それも大きな問題ではないと考えています」初日のプラクティスからマシンのセッティングを精力的に行ったトロロッソ・ホンダの2台は、予選でピエール・ガスリーがQ3に進み、10番手を獲得。その後、チームはレースに向けて、データの解析と、各チームを悩ませていたタイヤ戦略の構築に、長い作業を行った。決勝レース、上位の選手にグリッドペナルティーが出たことで9番手スタートに繰り上がったガスリーは中古のスーパーソフトタイヤで、16番手スタートのブレンドン・ハートレーは、全車中唯一ミディアムタイヤを選択し、タイヤ戦略を分けて入賞を目指す。結果的に、このタイヤ戦略は正しかったが、特にガスリーは序盤からペースが上がらず、上位進出は果たせなかった。それでもピットインを引き延ばしたハートレーは、安定したペースで11位。ただ、入賞圏内をとらえるようなスピードを見せることはできず、目標の入賞には届かなかった。レース後、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治は「2台ともに完走を果たしたものの、マシンのパッケージとしてポイントに届くだけの速さが足りませんでした」とコメント。入賞を果たせなかった悔しさを滲ませた。シーズンは、UAE・アブダビでの最終戦を残すのみとなった。2週間後の、今季最後の戦いに向け、トロロッソ・ホンダは、目標となるコンストラクターズ・チャンピオンシップの8位奪還に向けて、そして1年間の成長の集大成として、チーム一丸となって全力で準備を進めている。