フェラーリF1のルイス・ハミルトンは、前戦メキシコGPでの混乱したレースを受け、F1における裁定の「透明性」と「一貫性」を求めた。メキシコシティGPでは、ハミルトンが芝生を横切ってマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の前に留まったとして10秒のタイムペナルティを受けた。この裁定により、彼は今季初の表彰台を逃すことになった。
一方で、似たような場面で他のドライバーが処罰を免れたことに対し、ハミルトンは不満を示している。たとえば、チームメイトのシャルル・ルクレールは1周目の第1〜2コーナーでコースをカットし、ハミルトンの前を維持したものの、ランド・ノリスにポジションを譲ることでペナルティを回避した。さらに、フェルスタッペンも1周目の第1コーナーでコースを外れたが、メルセデス勢の前に留まっている。また、6周目のターン1でフェルスタッペンがハミルトンに対して強引なダイブを仕掛けた場面でも、ペナルティは科されなかった。同じ周の後半で起きたハミルトンのコースオフに対しては即座に処分が下されたことから、ドライバー間で基準が不明確だとの声が高まっている。ハミルトンはサンパウロGP前のメディア取材で次のように語った。「明確さがまったくないと思う。それが一番大きな問題の一つだ。透明性と説明責任の欠如だね」「それに、決定が裏で密かに行われている点も問題だと思う。これは改善すべき部分だ。おそらく内部で何かしら対処されるべきことだろう」「彼ら(スチュワード)が自分たちの決定の重みを理解しているのか分からない。判断ひとつでチャンピオンシップの結果が左右されることもある。過去にもそういう例があった。改善の余地は間違いなくあると思う」フェラーリ移籍後、依然として表彰台なしハミルトンはフェラーリ移籍後、いまだにグランプリでの表彰台を獲得できていない。夏休み以降はルクレールとの差を着実に縮めているものの、運にも恵まれず結果がついてこない。7度の世界王者であるハミルトンは、フェラーリドライバーとして最多の「無表彰台レース数」という不名誉な記録を更新している。一方でルクレールは今季すでに7度の表彰台を獲得し、直近ではオースティンとメキシコで2戦連続のトップ3入りを果たした。ハミルトンの問題提起が意味するもの今回の発言は、FIAの裁定基準やスチュワード制度の透明性に対するベテランドライバーからの明確な問題提起だ。彼が求める「説明責任」は、単なる不満ではなく、スポーツとしての信頼性回復を意識した建設的な意見とも言える。フェラーリでの苦戦が続く中でも、ハミルトンはF1の運営や制度面に対しても声を上げ続けており、競技の公正さをめぐる議論を再燃させた。
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