2026年のF1開幕前、ジョージ・ラッセルのタイトル獲得を最も強く信じていた人物の一人が、元ウィリアムズ副代表のクレア・ウィリアムズだった。ルイス・ハミルトンの離脱によってメルセデスのリーダーとなったラッセルは、ついにワールドチャンピオン争いに本格参戦する準備が整ったように見えていた。しかしシーズン序盤の主役となったのは、誰もが予想しなかったキミ・アントネッリだった。
アントネッリの台頭で予想は一変アントネッリは開幕7戦で5勝を挙げ、ドライバーズ選手権の主導権を掌握。一方のラッセルは、トラブルや不運な展開に見舞われ続けている。クレア・ウィリアムズは『High Performance Racing Podcast』で、自身の予想が外れた理由を率直に認めた。「今年はジョージの年になると開幕前から強く言っていた。だけど、私はキミを過小評価していたと思うし、おそらく多くの人もそうだったと思う」メルセデスの新時代を率いるのはラッセルだと考えられていたが、実際にはアントネッリがチームの勢力図を一変させた。才能だけでは勝てないF1の現実クレア・ウィリアムズは、ラッセルが苦戦している原因は実力不足ではないと強調する。「本当にジョージの年になると思っていた。そして以前も話したけれど、運というものは確かに存在すると思う。F1では人によって運の良し悪しがある」「私はウィリアムズでそれを何度も見てきた。雨やセーフティカーで結果が大きく変わるレースでも、ウィリアムズはほとんど恩恵を受けなかった。他のチームは受けていたのに」「それは戦略ミスや何かの失敗ではなかった。ただ私たちには起こらなかった。本当に一度もなかった」ラッセルもまた、そうした“不運な側”にいるように見えるという。中国 日本 カナダで逃した勝機2026年シーズンのラッセルは、重要な場面で何度も運に見放されてきた。中国GPでは技術的トラブル、日本GPでは不利なタイミングのセーフティカー、そしてカナダGPでは首位走行中にマシントラブルでリタイア。自らのミスとは言い難い形で多くのポイントを失っている。クレア・ウィリアムズは、その流れが続くことを心配している。「ジョージについて心配している。才能が足りないからではない。ただ少し運が悪かっただけだと思う」「そして時には、その不運が人にまとわりつくことがあるのではないかと心配している」2019年にウィリアムズでラッセルをF1デビューさせた張本人だけに、その姿を見るのは複雑な思いがあるようだ。それでも王者の資質は十分アントネッリの快進撃によってタイトル争いは厳しさを増しているが、クレア・ウィリアムズはラッセルの実力を疑っていない。「ジョージに不運がずっと付きまとってほしくない。なぜなら彼はタイトルに値するドライバーだからだ」「私は本当にそう思っているし、彼はそれを勝ち取るだけの実績を積み上げてきた」開幕前にはラッセルの戴冠シーズンになると予想されていた2026年。しかしアントネッリの衝撃的な台頭とラッセルを襲う不運の連続によって、メルセデス内のタイトル争いは今季最大の見どころの一つとなっている。