元F1の最高責任者であるバーニー・エクレストンは、フェラーリのF1チーム代表を務めるマッティア・ビノットは、エンジニアとしての技量は優れてはいるが、歴史的なチームをまとめられるような器ではないと語る。1995年からフェラーリF1チームに従事し、2006年からテクニカルディレクターとしてフェラーリの復調に貢献したマッティア・ビノットは、2019年に更迭されたマウリツィオ・アリバベーネに代わり、チーム代表に就任した。
テニクニカルディレクターとして高い評価を受けていたマッティア・ビノットだが、チーム代表としての評価は高くない。昨年、フェラーリは、4回のF1ワールドチャンピオンであるセバスチャン・ベッテルとルーキーのシャルル・ルクレールとの間でチーム内バトルが勃発。当初、マッティア・ビノットは、序盤戦はセバスチャン・ベッテルに優先権を与えていたが、中盤からシャルル・ルクレールが速さをみせて先に勝利を収めると采配はあやふやに。ドライバーのミスもあったが、戦術ミスが多く、F1ブラジルGPでは二人の同士討ちに発展した。フェラーリはシャルル・ルクレールと2024年まで契約を延長したが、セバスチャン・ベッテルに対しては大幅な減給を伴う1年契約をオファー。ベッテルは“お金の問題ではない”としながらも、“今シーズンの終わりを超えて一緒にいたいという共通の欲求はもはやないことに気づいた”として2020年限りでチームを離脱することを発表した。マッティア・ビノットも「セバスチャンと話をしたところ、同じ目標、つまり短期的もしくは長期的な目標を共有していないことがわかった」と語っている。セバスチャン・ベッテルのチーム離脱は、マッティア・ビノット体制に見切りをつけたためだとも解釈することができ、今後のフェラーリF1チームの行く末を疑問視する声もある。バーニー・エクレストンも、マッティア・ビノットのチーム代表としての手腕には疑問を抱いている人物のひとりだ。「ビノットについて悪く言ったことはない。私がまだF1で働いていた頃に彼はフェラーリの非常に優れたエンジニアだったは話しただけだ」とバーニー・エクレストンは前置きして Il Giornale で語り始めた。しかし、優れたエンジニアであることと良いチーム代表との間には根本的な違いがある。マネージャーは彼の目標を達成するためにあらゆることをしなければならない」「私の意見では、ビノットはとてもいい人だが、チームボスとして仕事をするという点では、ジャン・トッドやトト・ヴォルフのような男が必要だ。それらは他のキャラクターだ」「私はいつもフラビオ・ブリアトーレがフェラーリに行くと思っていた。その仕事のために適切な男だと私は思う」バーニー・エクレストンは、フラビオ・ブリアトーレの優れた点について次のように説明する。「別のチームでより優れた従業員を見つけたら、彼ならはすぐに手に入れる。ビノットが同じことをするかどうかはわからない。彼はそれよりも自分の部下を1人残すかもしれない」フェラーリは、セバスチャン・ベッテルの後任としてカルロス・サインツをシャルル・ルクレールのチームメイトに起用することを決定。同じく獲得可能だったダニエル・リカルドではなく、サインツを起用したのは、ナンバー2として扱いやすいからだとの見方もある。