アストンマーティン・ホンダは、中東情勢の影響で2026年F1カレンダーからバーレーンGPとサウジアラビアGPが中止されたことについて、単なる“救済措置”ではないとの見方を示した。4月に予定されていた2戦の消滅により、F1は1か月以上の空白期間に突入。開発時間の確保という利点がある一方で、現場では「データ不足」という新たな問題が浮上している。
今回の中断は、特にホンダ製パワーユニットの振動問題に苦しむアストンマーティンにとって、改善のチャンスと見られていた。しかし、現場の評価は一枚岩ではない。アストンマーティンのトラックサイド・オペレーション責任者マイク・クラックは、この状況について明確に“両面性”があると指摘した。「これは2つの側面があると思う」「2レースを走れないということは、データを得る機会、マシンを理解する機会を失うという意味で問題になる。サーキットにいることで、新しい発見ができるからだ」一方で、ファクトリーでの作業に集中できる利点も認めている。「ただ、カレンダーの強いプレッシャーがない状態で問題解決に取り組めるという意味では助けになる。だから確実に両方の側面がある」ホンダ問題の修正期間か、開発停滞かアストンマーティンは2026年シーズン序盤、深刻な不振に直面している。ホンダのパワーユニットによる振動は、信頼性とパフォーマンスの両面に悪影響を及ぼし、ドライバーの身体的負担にまで影響している。本来であれば、この長いインターバルは振動問題の解決と、AMR26のアップデート開発に充てられる貴重な時間となるはずだった。しかし、実戦走行の欠如は、問題の根本原因を特定するうえで大きな障害となる可能性がある。特に2026年の新レギュレーション下では、シミュレーションと実走の乖離が各チームで課題となっており、トラックデータの価値はこれまで以上に高まっている。クラック、メディアに配慮要求さらにクラックは、厳しい状況下に置かれているドライバーへのメディア対応にも言及した。「ドライバーにとってこれが一番難しいことだ」「彼らにはどうすることもできない。非常にさらされていて、議論を呼ぶような質問を受けている」「彼らは多くのエネルギーを費やしているが、ときに適切ではない質問を受けることがある」「プロのアスリートであることは確かだが、同時に人間でもある。この状況を理解してほしい」現在のアストンマーティンは、結果とパフォーマンスの両面で厳しい状況にあり、そのしわ寄せがドライバーへの批判やプレッシャーとして表面化している。ストロールの対応が象徴する苦境その象徴が、ランス・ストロールの中国GP後の対応だ。予選21番手に終わったストロールは、チームの進歩について問われ「ない」と回答。上海で多くの周回を重ねたことによる改善についても「ない」と繰り返し、レースでの進展の可能性についても同様の答えを返した。さらに、週末のポジティブな要素を問われても「今のところ、あまりない」と語るにとどまった。短い受け答えは、単なる消極性というよりも、チーム全体の停滞とフラストレーションを映し出しているとも言える。アストンマーティンにとってこの“空白の1か月”は、再建の時間となるのか、それとも問題を深める停滞期間となるのか。日本GPに向けた改善の成否が、その答えを示すことになる。