桜井孝太郎は、10月7〜9日にシルバーストン・サーキットで開催されたイギリスF3選手権(第28〜30戦)に参戦し、雨が降ったり止んだりする難しいコンディションの中、3連覇を達成。ヨーロッパ挑戦1年目を、シリーズ全30戦中15勝で、有終の美を飾った。シルバーストン・サーキットはF1イギリスグランプリが開催される伝統のサーキット。高速コーナーが連続する独特のレイアウトは、ドライバーとマシンにとって、非常に過酷。つねにスロットルは全開域に近く、速度域が高いだけに、ほんの些細なミスが大きなアクシデントの原因になる可能性...
桜井孝太郎は、すでにルーキークラスのチャンピオンを決定していることもあり、シーズンの優勝記録をどこまで伸ばせるかを、自分自身のテーマとして課して、この最後のイベントに参戦した。フリー走行から積極的に周回を重ね、マシンのセットアップを進めていた桜井孝太郎は、低速区間ではチャンピオンクラスのマシンを凌ぐ好タイムをマーク。ダウンフォースが少ないマシンのために、高速コーナー区間ではやはり厳しい状態ではあったが、それでもチームのマシン改良の結果、かなり接近するタイムをマークすした。土曜日に開催された第27戦では、素晴らしいスタートを見せた桜井孝太郎は、同じハイテック・レーシングチームからスポット参戦したブラジルの新人、シルバと激しいバトルを展開。さらにもうひとりのチームメイト、F2ドライバーのマックスも加え、コーナー毎に熾烈な戦いを繰り広げた。チームオーナーから無線でチームオーダーが出ることはなく、桜井孝太郎がクラス優勝を飾った。日曜日の第28戦は朝の雨が残る難しいコンディション。前回のドニントン・パークでのレースでタイヤチョイスの重要性と決断の早さが要求されることを肝に銘じてコースインした桜井孝太郎は、グリッドに着くまでの1周の間にコースをチェックし、グリッドに着くなり「ウェットタイヤに交換して」と自ら指示。グリッド上の約半分のマシンが晴天用スリックタイヤ、半分のマシンが雨用のレインタイヤに交換するという状況だった。レースはタイヤチョイスで、雨用タイヤに交換したドライバーが正解という結果となった。レース終盤は充分スリックタイヤで走れる状況だったが、雨が乾くのが予想以上に遅く、桜井孝太郎は、フォーテック・モータースポーツのドライバーをパスし、チャンピオンクラスのカーリンモータースポーツのふたりのドライバーと激しいバトルを展開し、クラス優勝のチェッカーを受けた。レース中のベストラップもチャンピオンクラスに匹敵するタイムをマーク。エンジニアからは称賛の声があがった。2011年イギリスF3選手権最終戦となる第30戦、スタートから最後まで長い40分間のレースを戦い抜いた桜井孝太郎に、嬉しい今季15勝目のチェッカー。スタンドのファンに対して、ストレートで派手にウィービングをしてみせる余裕も生まれた。桜井孝太郎は、ヨーロッパ初挑戦にして、2011年度ブリティッシュF3選手権ルーキークラスのチャンピオンを獲得。英国F3選手権60年間の歴史の中で、史上最年少、17歳87日でのタイトル獲得を記録し、イギリスF3史上最年少での初優勝(16歳と321日)もマークした。シリーズ全30戦中(2戦は事故で欠場)、15勝を挙げ、今シーズン参加全ドライバーの中で最多の378ポイントを獲得した。チームオーナーのライアン・シャープ監督も、「今年の孝太郎選手の成長ぶりは素晴らしかった。開幕戦では高く宙を舞って全損し、本当にどうなることかと心配したが、1年を通じてみれば、とても立派な結果を残してくれた。チームとしても誇らしい結果だ」と、その喜びを語った。桜井孝太郎「今シーズンは本当に色々な事があったので、終わりよければすべて良しに出来る様に、しっかりと、かつ必死に走りました。シルバーストンで味わう勝利の味は、また他のコースで味わえるのとは違って特別です。特に第29戦の難しいコンディションでのレースは、この一年、自分がどう成長できたかを他のトップチームや多くの関係者の人たちに見せることが出来たと思うし、僕の今年のベストレースだったと思います。接近戦でしたし、ライン取りも毎ラップ変化していったし、直感で走るのが大変でしたね(笑)。シリーズ最後の3連戦をしっかりまとめる事が出来たし、ここまで応援、そして支えてくださったチームのメンバーやスポンサー方々、そして皆様に対して、結果と言う形で感謝の気持ちを表す事が出来て本当にホッとしています。まだまだ僕らの2011年は終わりません。ここからまた2012年に向けて動いていきますし、個人的にはそっちの方が大変かな?って思います(笑)。来年も自分らしい色、そしてルーキーチャンピオンの名に恥じないレースをして行きますので応援よろしくお願いします」