ルイス・ハミルトンは、F1で成功を収めるだけでなく、投資家としても卓越した手腕を発揮している。フェラーリから年間約94億円(6000万ドル)の報酬を受け取る7度のF1ワールドチャンピオンは、高級不動産やさまざまな投資資産を保有している。その中でも2022年に行ったNFLチームへの投資は、わずか4年で大きなリターンを生み出しつつある。
デンバー・ブロンコスへの投資価値が急騰2022年、ルイス・ハミルトンはウォルマート創業家のロブ・ウォルトン氏が率いる投資グループの一員として、NFLのデンバー・ブロンコスを46億5000万ドル(約7300億円)で買収した。当時としては北米スポーツ史上最高額での球団売却だった。投資グループには元米国務長官のコンドリーザ・ライス氏らも参加し、ハミルトンは少数株主として名を連ねた。当時から将来性の高い投資と評価されていたが、その後のNFL市場の急成長によって、保有する持ち分の価値は想定を上回るペースで上昇している。NFL球団は100億ドル時代へNFLではテレビ放映権収入の急拡大を背景に、球団価値が過去に例を見ない勢いで上昇している。その象徴となったのが、スーパーボウル王者シアトル・シーホークスの売却だ。2026年、コースラ家が96億1200万ドル(約1兆509億円)で買収し、北米スポーツ史上最高額を大幅に更新した。この売却以前から、デンバー・ブロンコスとシアトル・シーホークスはほぼ同等の価値を持つ球団と評価されていた。フォーブスが2025年に発表したNFL球団価値ランキングでは、ブロンコスは68億ドル(約1兆678億円)、シーホークスは67億ドル(約1兆519億円)と査定されていた。しかし実際の売却額は、その評価を約50%も上回る水準となった。この結果を受け、ブロンコスをはじめとする複数のNFL球団は現在100億ドル(約1兆5700億円)規模の価値を持つとみられている。ハミルトンが保有する株式も、この4年間でほぼ倍の価値になったと考えられており、その上昇は今後も続く可能性が高い。絶妙だった投資タイミングハミルトンは、NFLの放映権ビジネスが大きく成長するタイミングで投資を行った。NFLは2021年、CBS、FOX、Amazon、ESPNなどと総額1110億ドル(約17兆4270億円)に及ぶ11年間の大型放映権契約を締結。リーグ全体の収益は急速に拡大している。契約期間はまだ半分にも達していないが、NFLのロジャー・グッデル・コミッショナーは放送局との契約見直しを望んでいると報じられており、さらなる放映権料の引き上げが期待されている。収益が増えればオーナーへの利益配分も拡大し、球団価値はさらに押し上げられる見通しだ。現在は球団の少数株式を外部投資家へ売却することも認められており、市場価値の上昇を後押ししている。F1チームの価値上昇とも共通する流れNFLの急成長は、近年のF1にも通じるものがある。Netflixの人気シリーズ『Drive to Survive』やリバティ・メディアによるF1買収以降、F1人気は世界的に拡大。テレビ放映権や開催権料、グッズ販売収入が増加し、さらにコストキャップ導入によってチームの収益性も改善した。その結果、メルセデスF1代表のトト・ヴォルフは保有株の一部を約3億ドル(約471億円)で売却し、チーム全体の企業価値は59億7000万ドル(約9373億円)と評価された。ハミルトンはサーキットで数々のタイトルを獲得してきたが、投資家としても優れた判断力を発揮している。2022年のデンバー・ブロンコスへの出資は、その先見性を示す代表例となり、NFL人気の拡大とともに今後も資産価値を伸ばしていく可能性が高そうだ。
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