2026年F1ハンガリーGPで投入されたアストンマーティンF1の大規模アップグレード「BスペックAMR26」が、チームに待望の前進をもたらした。元フェラーリおよびウィリアムズのエンジニアであるロブ・スメドレーは独自データを分析し、このアップグレードによってアストンマーティンは「シーズンを通じた開発競争でトップチームと同じペースを維持した」と高く評価した。
一方で、ホンダの新パワーユニット投入が予定されるオランダGP以降には、さらなる飛躍への期待も示している。独自データが示したAMR26の進化ハンガリーGPでは16項目に及ぶ大規模アップデートを投入したアストンマーティン。フェルナンド・アロンソは今季初めて予選Q2進出を果たし、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。このパッケージによって、アストンマーティンはキャデラックを上回り、さらにウィリアムズも逆転したとの見方が広がった。ウィリアムズのカルロス・サインツJr.は「アストンマーティンは今や中団最高のシャシーを持っている」と評価したが、この見解について現場運営責任者マイク・クラックは「そうは思わない」と否定している。そんな中、ロブ・スメドレーはポッドキャスト『High Performance Racing』で独自に入手したデータを公開し、BスペックAMR26の実力を分析した。コーナー性能は圧倒 エンジン性能が課題スメドレーが最初に示したのは、アロンソとサインツJr.の速度トレース比較だった。分析によると、最低コーナースピードではアロンソがほぼすべてのコーナーで上回っており、「ダウンフォース量が大幅に増えたことで、より安定し、高性能なマシンになっている」と評価した。一方で、ストレートでは状況が逆転する。スメドレーは次のように説明している。「メルセデス製パワーユニットと両車の空力抵抗の差によって、アロンソはストレートで大きく不利になっている」実際、サインツJr.はストレートで最大約10km/hも高速だったという。そのため、ウィリアムズはコーナーでは劣るものの、ストレートスピードで大きくタイムを取り戻していたことがデータから明らかになった。トップ勢と同等の開発ペースを維持スメドレーが特に注目したのは、予選ポールポジションとの差をシーズンを通じて比較したデータだった。スペインGP以前のアストンマーティンは、ポールタイム比で平均4.1%遅れていた。しかし、スペインGP以降は各トップチームが新アップデートを投入したことで、その差は約5%まで広がっていた。ところが、ハンガリーGPでは再び3.9%差まで縮小した。スメドレーはこの結果について次のように分析している。「数字だけ見れば0.2%改善しただけとも言える。しかし重要なのは、トップチームがアップデートを重ねる中でも、アストンマーティンは同じ開発ペースを維持できたということだ」つまり、一度失った競争力を取り戻しただけでなく、開発競争そのものでも先頭集団に食らいつけるようになったことを意味しているという。ホンダ新PUが次の鍵もっとも、この分析にはまだ新しいホンダ製パワーユニットは含まれていない。ホンダはオランダGPで改良型PUを投入予定であり、ハンガリーGP後にはBスペックAMR26との組み合わせでフィルミングデーも実施した。スメドレーは、ザントフォールトはエンジン性能への依存度が高いサーキットであることを踏まえ、「アストンマーティンはホンダがこの新エンジンで一段階引き上げてくれることを本当に必要としている」と期待を寄せた。また現時点ではキャデラックやウィリアムズは上回ったものの、「ハースにはまだ及んでいない」との見方も示している。さらなるアップデートも投入予定アストンマーティンの開発はここで終わらない。エイドリアン・ニューウェイは、オランダGP、さらにイタリアGPまたはアゼルバイジャンGPに向けても追加アップデートを準備していることを明かしている。スメドレーは「本当に彼らが求めていたのは安定した開発プラットフォームだった」と語り、さらにシミュレーションと実車の相関性が改善されたことも高く評価した。「関係者に聞く限り、実際のマシンはシミュレーションが予測した通りの性能を発揮した」という。元アストンマーティン代表のオトマー・サフナウアーも当初は懐疑的だったものの、「シミュレーション通りの結果が得られた」と相関性の改善を認めている。今回のアップグレードは、単なる一時的な性能向上ではなく、開発の方向性が正しかったことを裏付ける重要な成果となった。ここにホンダの新パワーユニットと今後の追加アップデートが加われば、アストンマーティンが中団争いからさらに上位勢へ迫る可能性は十分に高まりそうだ。
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