ウィリアムズF1 軽量化の「極秘技術」開発 チーム内でも知るのはわずか19人
ウィリアムズF1が、FW48の軽量化を進める過程で新たなカーボンファイバー製造技術を開発した。ジェームス・ボウルズ代表によれば、その詳細を知っていたのはチーム内部でもわずか19人だったという。
新しい手法は、ウィリアムズが約15年間使用してきた従来のカーボン構造物の製造方法とは「完全に異なる」ものだ。すでに新しいシャシーなどの大型構造物に採用され、必要なテストもクリア。ボウルズは従来品よりも軽量で、同時に強度も高めることができたと明かしている。
秘密を知るのは設計7人と製造12人
ジェームス・ボウルズはF1スペインGPが開催されたマドリンクで、ウィリアムズが進めている製造技術の改革について説明した。
その対象となっているのは、小型の空力パーツではない。シャシーをはじめとする大規模なカーボン構造物の製造方法そのものだ。
「これは非常に具体的に言えば、シャシーやその他の非常に大きなカーボン構造物に対して我々が行ってきたことだ」
「だから、小さなウイングに適用するようなものではない。大規模な製造方法についての話だ。これまで15年間使われてきた伝統的な方法があったが、今回我々がやったことは、過去15年間に行ってきたこととは完全に違う。本当に完全に違うものだ」
そして、その技術がライバルチームへ流出することを防ぐため、ウィリアムズはプロジェクトに関与する人数を極端に絞った。
「我々の建物の中でさえ、このことを知っている設計部門の人間は7人しかいない。そして製造部門でも、我々が何をやっているのかを知っていたのは12人だけだ」
つまり、秘密を共有していたのは合計19人だけだったことになる。
「今は、できるだけ長い間これを守らなければならないからだ。製品は完成していて、非常に良い品質になっている。必要なテストもすべて通過した。準備はできている。だから私は満足している。そして、はるかに軽く、より強い」
単にカーボンを減らしただけではない
ウィリアムズがこの技術を開発した背景には、2026年型マシンFW48が抱えてきた重量問題がある。
FW48はシーズン序盤に重量超過を抱えており、ウィリアムズはシーズンを通じて軽量化を進めてきた。F1アゼルバイジャンGPでは2台に新しいシャシーを投入し、マシン重量を最低重量以下まで引き下げることを目標としていた。
しかし、ボウルズが重要視しているのは、既存の部品から単純にカーボンを減らして軽くすることではない。
「我々の将来にとって重要なのは、単により軽い製品を作ることではない。それなら我々にもできる。部品を軽くして、自分たちのミスを修正することはできる。しかし、それは資金の良い使い方ではない」
ボウルズが目指しているのは、軽量化と強度向上を同時に実現する新しい製造方法を確立することだ。
「資金の良い使い方というのは、より時間がかかったとしても、より軽く、より強いものを作れるアイデアがあるなら、まったく異なる方法でそれを実現し、新しい技術や手法を学びながら投資していくことだ」
「単純に軽くすること自体は、それほど重要ではない」

15年間の製造方法を根本から変更
このプロジェクトが興味深いのは、FW48だけを速くするための軽量化策ではない点にある。
ウィリアムズは近年、ファクトリーの設備やソフトウェア、設計・製造工程を大規模に刷新してきた。ボウルズがチーム代表に就任して以降、長年にわたって残されてきた古いインフラや作業方法を見直す改革が続けられている。
今回のカーボン製造技術も、その改革の一部となる。
「もちろん、これはラップタイムにつながる。しかし、単純に軽くするだけなら、12カ月前や24カ月前と同じ場所に戻るだけだ。この2つには大きな違いがある」
「私にとって、一方はイノベーションだ。もう一方は、現在やっていることを少し改善するだけにすぎない」
つまりウィリアムズは、重量超過というFW48の弱点を修正するだけではなく、その機会を利用してF1マシンそのものの製造方法を変えようとしている。
バクーで新シャシーを実戦投入
ウィリアムズはF1アゼルバイジャンGPに向け、2台分の新しいシャシーを用意した。
ボウルズはバクーを以前からFW48の大幅な軽量化を実施するタイミングとして設定しており、新シャシーに加えて空力面でもアップデートを投入した。
「これは以前から待っていたレースだ。ここには2台の新しいシャシーを持ち込み、マシンを最低重量以下まで軽くすることを目標としている。それによってパフォーマンス面で大きな一歩になるはずだ」
ただし、ボウルズはFW48の軽量化によってウィリアムズが一気に競争力を取り戻せるとは考えていない。ライバルもシーズンを通して開発を続けており、相対的な差を埋めるにはさらなる改善が必要になるからだ。
それでも、今回開発した新しいカーボン製造技術の価値は2026年だけに限定されない。
わずか19人に情報を限定して開発された新製法は、FW48の重量問題への対策であると同時に、2027年以降のウィリアムズF1のマシン作りを変える可能性を持つ技術となる。ボウルズにとって重要なのは、単に今年のマシンから重量を削ることではなく、より軽く、より強いF1マシンを作るための新しい方法をチーム内に定着させることにある。





