ジェイミー・チャドウィック ウィリアムズF1を初テスト「人生最高の日」
ジェイミー・チャドウィックが、ポルトガルのポルティマオでウィリアムズの2025年型F1マシン「FW47」をドライブし、自身初となるF1テストを完了した。ウィリアムズのF1マシンを女性がドライブするのは、2015年のスージー・ヴォルフ以来11年ぶりとなる。
3度のWシリーズ王者である28歳のチャドウィックは、TPC(Testing of Previous Cars/旧型車テスト)の一環としてアルガルベ・インターナショナル・サーキットを32周。
2027年にF1カレンダーへ復帰するポルトガルGPに向けたデータ収集にも貢献し、テスト後には「人生最高の日」と喜びを語った。
2025年型FW47でポルティマオを32周
チャドウィックは今回の走行に向けて、フィジカルトレーニングやシミュレーターでの走行、シートフィッティングなど入念な準備を重ねてきた。
そしてポルティマオでは、2025年にウィリアムズがF1世界選手権で使用したFW47のステアリングを握り、アップダウンの激しいコースで32周を走破した。
「素晴らしい一日だったし、信じられないような経験だった」とチャドウィックは振り返った。
「ポルティマオのようなサーキットでF1マシンをスピードに乗せて走らせることに対して、完全に準備できるものなんてほとんどない。でも、想像していた通りだったし、その10倍くらいすごかった」
「この機会を与えてくれたアトラシアン・ウィリアムズF1チームには本当に感謝している」
チャドウィックにとって、ウィリアムズのF1マシンをドライブすることには特別な意味があった。自身が若かったころ、スージー・ヴォルフが同チームのF1マシンを走らせる姿を見て、大きな影響を受けたという。
ヴォルフは2014年のF1イギリスGPでフリー走行に出走し、女性として22年ぶりにF1のグランプリ週末の公式セッションに参加。その後も2015年までウィリアムズでF1マシンをドライブした。
「若いころ、スージー・ヴォルフがウィリアムズのF1マシンに乗るのを見て、それが自分自身の道のりにどれほど大きな影響を与えたかを覚えている」
「自分も次の世代に対して同じことができたらうれしい。そして、今日得た経験は自分自身のレース活動だけでなく、これから成長してくるドライバーたちに伝えられるものとしても、本当に大きな違いを生むと思う」
「人生最高の日」とチャドウィック
チャドウィックは2019年からウィリアムズとの関係を築いている。当初はドライバーアカデミーの一員として加入し、現在はチームアンバサダーを務めるとともに、F1 ACADEMYのアドバイザーとして若手女性ドライバーの育成にも携わっている。
今回のテストによって、チャドウィックはウィリアムズのF1マシンをドライブした女性として、スージー・ヴォルフに続く2人目となった。
近年ではジェシカ・ホーキンス、ドリアーヌ・ピンらも他チームのF1マシンをドライブしているが、ウィリアムズで女性がF1マシンを走らせるのは2015年のヴォルフ以来11年ぶりだ。
チャドウィックは自身初のF1走行を終え、その喜びを隠さなかった。
「本当に感謝しているし、この一日がどう進んだかについて心からうれしく思っている」
「これは本当に長い間、忘れることのない経験になる。今のところ、人生で最高の日だったと言ってもいいくらいだ」
自身のSNSでも「とても特別な一日」と表現し、「初めてF1マシンを運転したことを言葉で表現するのはかなり難しい。子どものころから抱いていた夢を、ついにリストから一つ叶えることができた」と喜びを綴った。

2027年ポルトガルGP復活に向けたデータも収集
今回の走行は、チャドウィックにF1マシンを経験させるだけのテストではなかった。
ポルティマオのアルガルベ・インターナショナル・サーキットは2027年にF1カレンダーへ復帰する予定であり、ウィリアムズにとっても実戦を見据えたデータを収集できる貴重な機会となった。
チャドウィックは32周の走行を通じてチームに技術的なフィードバックを提供。チーム代表のジェームス・ボウルズも、その仕事ぶりを高く評価した。
「ジェイミーはあらゆるレベルで記録を打ち立ててきた、何百万人もの女性や少女たちにとってのインスピレーションだ。今回のアトラシアン・ウィリアムズF1チームでのF1テストの機会は、彼女が十分に勝ち取ったものだ」
「F1が来年ポルティマオに戻る準備を進めるなかで、ジェイミーはチームにとって重要なデータを収集してくれた。彼女のフィードバックとパフォーマンスは、我々が予想していた通り素晴らしいものだった」
「これは女性がトップレベルで戦うための道が存在することを明確に示している。ジェイミーがこの経験を自身のドライビングの向上にどう生かし、さらにF1マシンをドライブするために何が必要なのかを若いドライバーたちに伝えていくのか楽しみにしている」

Wシリーズ3連覇からインディNXTとスポーツカーへ
チャドウィックは女性モータースポーツ界を代表するドライバーのひとりとして、これまで複数のカテゴリーで実績を残してきた。
2015年にはイギリスGT選手権でタイトルを獲得。2019年にスタートした女性限定フォーミュラシリーズのWシリーズでは、2019年、2021年、2022年と3度にわたってチャンピオンに輝いた。
その後はアメリカへ活動の場を移し、インディカーの下位カテゴリーであるインディNXTに参戦。2024年にはロード・アメリカで優勝し、同シリーズで女性ドライバーとして久々の勝利を挙げた。
さらにスポーツカーレースにも進出し、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)ではIDECスポーツからLMP2クラスに参戦してクラス優勝を達成。2026年にはル・マン24時間レースのテストデーで最高峰ハイパーカーをドライブした初の女性ドライバーとなり、ジェネシス・マグマ・レーシングのFIA世界耐久選手権(WEC)プログラムではリザーブドライバーも務めている。
F1世界選手権では1976年のレラ・ロンバルディを最後に女性ドライバーが決勝レースをスタートしていない。一方、近年はF1 ACADEMYの創設や旧型F1マシンを使用したテストなどを通じ、女性ドライバーがF1マシンを経験する機会は増えつつある。
長年ウィリアムズの一員として活動してきたチャドウィックにとって、今回のFW47での32周は念願だったF1マシン初走行であると同時に、次世代へその経験を伝えるための新たな一歩となった。テストの舞台裏はF1アゼルバイジャンGPの週末にウィリアムズおよびSky Sports F1のソーシャルチャンネルを通じて紹介される。





