F1エンジンの名匠イリエン フェルスタッペンの新PU批判に同意「予想していた」
F1の新世代パワーユニットをめぐる議論は、まだ当分収まりそうにない。各チームとFIAがエネルギー配分の調整を続けるなか、著名なエンジン設計者マリオ・イリエンが現在の規則に対する見解を明らかにした。
イルモアの共同創設者で、長年にわたってF1のメルセデス製パワーユニットに携わってきたイリエンの主張は、マックス・フェルスタッペンが数カ月にわたって訴えてきた内容とほぼ一致している。
フェルスタッペンは当初から、現在のF1パワーユニットを好んでいないことを明確にしてきた。
そして、その批判的な見方には、数々のタイトル獲得に貢献してきたイリエンという強力な支持者が加わった。
イリエンは、現在のF1マシンにおける内燃エンジンと電動パワーのバランスが適切ではないという4度のF1ワールドチャンピオンの意見に同意している。
スイス出身のエンジン設計者はRacingNews365の独占インタビューで、自身の考えを明確に語った。
「電動パワーが多すぎると思う」
「ハイブリッドというコンセプト自体はいいと思うが、この比率ではない。これほど多くの電動パワーを使ってレースをすることがハンディキャップになってはいけない。それに非常に複雑で、非常に高価だ。そして、それによってファンが以前より熱狂するわけでもない」
「テレビで見ていても、ストレートの3分の2ほどを走ったところでマシンがアクセルを緩めなければならないのはエキサイティングではない。ドライバーの役割は小さくなり、今ではソフトウェアと、それをどう使うかということの方が、レースそのものより重要になりつつある」
イリエン「始まる前からこうなると分かっていた」
フェルスタッペンは、現在のパワーユニット時代について最も率直に批判してきたドライバーのひとりだ。
今年初めに行われたバーレーンでのプレシーズンテストでは、レッドブルのフェルスタッペンが新レギュレーションについて厳しい評価を下し、大量のエネルギーマネジメントを要求されるドライビングをフォーミュラEになぞらえた。
「ドライバーとしては、あまりF1らしい感覚ではない。ステロイドを使ったフォーミュラEみたいな感じだ」
「純粋にドライバーとして言えば、僕は全開で走ることを楽しみたい。でも今はそういう走り方ができない。いろいろなことが起きているし、ドライバーとして行う操作の多くがエネルギーに非常に大きな影響を与える」
「僕にとって、それはF1ではない。だったらフォーミュラEで走った方がいいのかもしれない。あちらはエネルギー効率とマネジメントがすべてだからね」
RacingNews365が、イリエンの発言はフェルスタッペンのコメントと重なると指摘すると、イリエンはためらうことなく同意した。
「そうだ。私はすべてが始まる前から、すでにこの考えを持っていた。こういう結果になることは早い段階から明らかだった」

F1が目指す改善策では不十分?
FIAは現在、内燃エンジンと電動パワーの比率を変更する方向で作業を進めている。
現在は内燃エンジン52%、電動パワー48%という比率だが、来季には58対42、2028年には60対40へと内燃エンジン側の割合を増やすことが検討されている。
イリエンは、この変更自体は悪い方向ではないと考えている。ただし、それだけで問題が解決するとは考えていない。
この変更で十分なのかと尋ねられたイリエンは、次のように答えた。
「多少は改善する。それは間違いない。しかし、問題を解決することにはならない」
では、本当の解決策は何なのか。イリエンの答えは明確だった。
「昨年まで採用していた比率は良かったと思う。あれは機能していた」
「当時、それを本当に批判していた人はいなかった。理にかなったアプローチだったからだ。運動エネルギーを回収すること自体は良いことだと思うし、それは一般の自動車にとっても有益だ。ただ、私はあのようなレースが恋しい」
現在のF1では電動エネルギーの比重が大幅に高まり、ドライバーはラップ全体を通じてエネルギーの回収と使用を意識した走りを求められている。フェルスタッペンが「F1らしくない」と批判してきたこの特徴について、イリエンも根本的な問題は電動化そのものではなく、その比率にあるとの考えを示した。
FIAが予定する内燃エンジン側への比率変更によって状況は改善するとイリエンは認める一方、昨年までのバランスこそがF1に適していたとの立場を崩していない。











