F1終盤戦 ラスベガス2連戦が幻に NFLとブレグジットが障壁

中東情勢の影響で終盤戦の開催可否が不透明となる中、F1は複数の代替案を検討したが、NFLとの競合やブレグジット(英国のEU離脱)による物流上の問題が障壁となり、ラスベガス2連戦案は見送られたという。
ラスベガス2連戦案が浮上した背景
2026年シーズンは中東情勢の悪化を受け、4月開催予定だったバーレーンGPとサウジアラビアGPが延期された。その後、バーレーンGPはマレーシアで代替開催されることが決定した一方、11月30日のカタールGPと12月6日のアブダビGPについては、現時点でも開催の可否が流動的な状況となっている。
ドメニカリは、両大会を予定どおり実施できるかどうかについては9月中旬に最終判断を下す予定だと説明。もし両レースが中止となった場合にはヨーロッパで代替レースを開催する方向で準備を進めており、イモラとポルティマオが候補に挙がっている。現時点ではイモラが最有力とみられている。
その一方で、シーズン途中にはラスベガスで2週連続開催を行う案も検討された。しかし、ドメニカリは複数の理由から実現は困難だったと説明した。
NFLとの競合は避けたかった
ラスベガスGPは11月21日に開催予定だが、この時期はNFLレギュラーシーズン第10週から第11週にあたり、全米のスポーツファンの関心がNFLへ集中するタイミングでもある。
ダラス・カウボーイズ対サンフランシスコ・49ersや、バッファロー・ビルズ対マイアミ・ドルフィンズなど注目カードも予定されており、F1としてはアメリカ市場でNFLと真正面から競合することは避けたい考えだった。
ドメニカリは、成長を続けるラスベガスGPのブランド価値を守ることも重要な判断材料だったと語った。
「その時期のヨーロッパの気温統計を見ると、レース開催時のラスベガスの平均気温よりも暖かいくらいだ」
「ラスベガスで2レース開催する可能性もあった。しかし、成長を続ける宝石のようなイベントの価値を、自分たちで損なうようなことはしたくなかった」
「その時期のアメリカではNFLと競合する。NFLは非常に大きなスポーツであり、多くのファンが見ている。我々がその巨大な存在と正面からぶつかる状況は避けなければならない」

ブレグジット後の通関手続きも障壁に
もう一つの大きな理由が、ブレグジットによる物流面の問題だった。
現在のF1チーム10チームのうち9チームはイギリスに拠点を置いている。EU離脱後は、機材をイギリスへ持ち帰る際や再び海外へ搬出する際に通関手続きが必要となり、終盤戦のタイトな日程では大きな制約となる。
ラスベガスで追加レースを開催したあと、イギリスで必要な手続きを済ませて別地域へ向かうスケジュールは現実的ではなく、ヨーロッパでシーズンを締めくくる方が運営上も効率的だったという。
ドメニカリは次のように説明した。
「現在の制約を考えると、一度イギリスへ戻ってブレグジット関連の通関手続きをすべて終え、その後に別の場所へ向かわなければならない」
「だからこそ、同じスケジュールの枠内でシーズンをヨーロッパで締めくくることが唯一現実的な選択肢だった」
終盤戦の開催可否は9月中旬に判断
カタールGPとアブダビGPを予定どおり開催できるかどうかは、9月中旬に最終判断が下される予定となっている。
両大会が中止となった場合には、イモラまたはポルティマオでの代替開催が有力視されているが、ドメニカリCEOの説明からは、興行面でのブランド価値の維持と、ブレグジット後の物流・通関という現実的な課題の両方を考慮した結果、ヨーロッパでシーズンを締めくくることが最も現実的な選択肢と判断されたことがうかがえる。
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