アイザック・ハジャー レッドブルF1で角田裕毅を意識「0.8秒も遅れるはずがない」

2026年シーズン前半を終えた現在、その自信は結果によって裏付けられつつある。
予選でのフェルスタッペンとの平均タイム差は約0.232秒。2025年に角田裕毅が記録した0.735秒、リアム・ローソンの0.880秒と比較すると、その差は大幅に縮まっている。
さらにローラン・メキース代表も、ハジャーの成長曲線について「非常に長い間で最高」と評価している。
「同じチャンスなら0.8秒差で負けることはない」
ハジャーは6月末、Sky Sports F1のカルン・チャンドックとのインタビューで、フェルスタッペンとの比較について手応えを語っていた。
「とても満足している。マシンがまったく同じ状態だったときは、毎回僕もそこにいた」
一方で、4度のF1ワールドチャンピオンであるフェルスタッペンとの差を感じる部分もある。
「同時に言わなければならないのは、彼はコースに出るたびに僕より早くグリップを見つけて、かなり早い段階で基準となるタイムを出すということだ。正直、それは彼に対して僕が予想していた通りだった。ものすごく高いレベルにいる」
レッドブルでは、ダニエル・リカルドが2018年末に離脱して以降、ピエール・ガスリー、アレクサンダー・アルボン、セルジオ・ペレス、リアム・ローソン、角田裕毅と、フェルスタッペンのチームメイトが次々と交代してきた。
当然、ハジャーにも不安がなかったわけではない。
「多少の疑いはある。これまでのチームメイトに何が起きたのかを見るからね」
「でも同時に、僕は自分を信じている。同じチャンスを与えてもらえれば、1周あたり0.8秒も差をつけられて負けるなんてあり得ない。それが僕の持っている自信だ」
フェルスタッペンとの差は平均0.232秒
2026年シーズン前半の予選データを見ると、ハジャーの言葉には数字の裏付けがある。
フェルスタッペンが予選対決で7勝3敗とリードしているものの、平均タイム差は0.232秒にとどまっている。
2025年の角田裕毅はフェルスタッペンに対して平均0.735秒遅れ、ローソンはわずか2戦というサンプルながら0.880秒差だった。ハジャーは、その差を約3分の1まで縮めている。
決勝ではまだフェルスタッペンより上位でフィニッシュしていないものの、チームの獲得ポイントに占めるハジャーの割合も大きい。2025年にはフェルスタッペンがレッドブルのポイントの93%以上を稼いだが、2026年はハジャーがチームポイントの4割近くを獲得している。
これは単純な速さだけでなく、長年レッドブルを悩ませてきた「セカンドカー問題」が変化し始めていることを示す数字でもある。
マルコから夏休みに届いた電話
ハジャーがレッドブル昇格を決定的なものにした背景には、ヘルムート・マルコとのやり取りがあった。
2025年シーズンの夏休み、翌年のドライバー選考が進むなか、マルコから電話を受けたという。
「物事が決まり始めていた時期だった。夏休みにヘルムートから電話がかかってきて、『君を後押しするものが必要だ』と言われた」
つまり、速さへの評価はあっても、レッドブル昇格を正当化する明確な結果が必要だった。
その要求にハジャーは即座に応えた。
「夏休み明け最初のレースで表彰台に上がった。僕は、それで十分だと分かっていた」
2025年オランダGPでレーシングブルズから3位に入り、F1初表彰台を獲得。その結果がレッドブル昇格への大きな後押しとなった。
2026年にはモナコGPでも一度は3位につけたが、ピエール・ガスリーの順位が復活したことで表彰台を逃している。レッドブルでの初表彰台はまだ実現していない。

メキース「過去は必ずしも完璧ではなかった」
ハジャーの活躍を評価しているのが、レッドブル・レーシング代表のローラン・メキースだ。
メキースは、チームが長年抱えてきたセカンドカーの問題について、レッドブル側にも改善すべき点があったことを認めている。
「レッドブル・レーシングの優先事項には、もちろんパワーユニットがあり、できるだけ早く競争力を取り戻すことがあった。しかし同時に、『セカンドカーの問題を解決しなければならない』というものもあった」
「過去に我々が必ずしもすべてを完璧にやってきたわけではないことは認識している。だからこそ、アイザックに関して同じことを繰り返さないようにすることは、間違いなく最優先事項だった」
2025年7月にクリスチャン・ホーナーの後任としてレッドブル代表に就任したメキースは、それ以前にレーシングブルズを率いていた。ハジャーの成長過程も間近で見てきた人物だ。
「功績はアイザック自身のもの」
ただしメキースは、レッドブル側の取り組みだけで現在の結果が生まれたわけではないと強調する。
「誤解してはいけない。功績はアイザック自身のものだ」
「彼は年初に我々と契約してから、わずか数日後にはイギリスにやって来た」
「レースが立て込んでいるときでも2週間に1度はファクトリーに来るし、そうでなければ2日に1度だ。シミュレーターに乗らないときには、エンジニアたちと仕事をしている」
ハジャーが重視しているのは、フェルスタッペンをすぐに倒そうとすることではなく、チームとフェルスタッペンから可能な限り吸収することだという。
「彼は地に足をつけ、頭を下げて、チームから、マックスから、毎日ただ学ぼうというアプローチを取っている。そしてマシンに乗るたびに進歩している。それが我々に見えているものだ」
「マシンに乗るたびに少しずつ良くなっている。週末の状況によってそれが見えることもあれば、見えないこともある。しかし、それが現実だ」
「非常に長い間で最高の成長曲線」
メキースが特に高く評価しているのは、現在の速さそのものよりも、ハジャーがまだ成長過程にあることだ。
「これはまだ始まりにすぎない。彼自身も、まだ引き出さなければならないものがたくさんあると分かっている。そこがエキサイティングなところだ」
そして、レッドブルのセカンドシートをめぐる近年のドライバーたちとの比較について、メキースは明確に語った。
「確実に言えるのは、このセカンドカーで我々が見てきたなかでは、非常に長い間で最高の成長曲線だということだ」
2026年夏休み時点で、ハジャーはドライバーズランキング8位につけ、68ポイントを獲得。フェルスタッペンの109ポイントに対して十分な貢献を果たしており、2027年のシートもすでに安泰とみられている。
新レギュレーションによってフェルスタッペンが旧世代マシンで築いていたアドバンテージがリセットされたことが、ハジャーに有利に働いたとの見方もある。しかし、平均0.232秒という予選差と継続的な成長は、それだけでは説明できない。
「0.8秒も差をつけられることはない」と信じてレッドブルに乗り込んだハジャーは、少なくともシーズン前半、その言葉を結果で証明している。長年続いたレッドブルのセカンドカー問題に、ようやくひとつの答えが見え始めている。
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