フェラーリF1チーム代表のフレデリック・バスールは、F1メキシコGPでキャリア最高の4位を記録したハースF1チームの新人オリバー・ベアマンを称賛した。20歳のルーキーは初の表彰台にわずかに届かなかったものの、堅実な走りでチームのシーズン最高成績を導いた。バスールはフェラーリ・ドライバー・アカデミーでベアマンの育成を指導してきた人物であり、レース後には「正直、途中まで表彰台を狙えると思っていた」と語った。
「彼は本当によくやった。シーズン序盤からずっと良い走りをしているが、予選か決勝のどちらかで小さな問題が起きることが多かった。今週末はすべてを完璧にまとめ上げ、ミスがゼロだった。それが報われた結果だ。2台揃ってポイントを取れたこともチームにとって大きい。アヤオ(小松礼雄/ハースF1チーム代表)とオリに祝福を送りたい」とバスールは語った。一方、フェラーリはシャルル・ルクレールが2位で表彰台を獲得したものの、レース序盤は混乱の中にいた。ターン1ではルクレールとルイス・ハミルトンがランド・ノリスと4ワイドのバトルを繰り広げ、最終的にノリスがポール・トゥ・ウィンを達成。ハミルトンは8位でレースを終えた。ハースF1、今季4度目のダブル入賞達成下位勢では、ハースF1チームが最も成功した日曜日を迎えた。ベアマンの4位とエステバン・オコンの9位により、チームは今季4度目のダブル入賞を果たした。ベアマンにとって、この結果はルーキーイヤーの集大成とも言える。これで獲得ポイントは合計32点となり、ドライバーズランキング13位に浮上。チームメイトのオコン(16位)を上回り、ルーキー勢の中ではメルセデスのアントネッリとレーシングブルズのアイザック・ハジャーに次ぐ3番手につけている。攻めのレース展開、フェルスタッペンとラッセルを一気に抜く予選9番手からスタートしたベアマンは、クリーンなスタートで6番手に浮上。1周目のターン1では果敢な突っ込みを見せた。6周目には、ルイス・ハミルトンとのバトルでコース外に出たジョージ・ラッセルとマックス・フェルスタッペンを一気に抜き去り、3番手に躍進した。その後、ハミルトンがペナルティでピットインした際には一時2番手にまで浮上。戦略面でも堅実な判断を見せ、24周目にミディアムタイヤ、48周目にソフトタイヤへと2回のピットストップを行った。最終的に1ストップ戦略を採ったフェルスタッペンに3位を譲ったものの、終盤までオスカー・ピアストリの猛追を抑えきった。「最高の気分だ」とベアマンはレース後に語った。「素晴らしいレースだった。もちろん最初のスティントでは運も味方したけど、それを活かせるだけの速さがあった。第1スティントではマックス、第2スティントではメルセデス勢、第3スティントではマクラーレンを抑えなきゃいけなかったから、本当にプレッシャーがすごかった。正直、前を見るよりもバックミラーを見る時間の方が長かったけど、そういう時もあるよね」さらに、ベアマンはルーキーとして想定外の位置で戦えたことに驚きを示した。「今年こんなに早くマクラーレンやレッドブル、メルセデス、フェラーリと戦うなんて思ってもみなかった。将来そうなればと思っていたけど、それを今シーズン中に実現できたのは本当に特別なことだ」オコンも9位で貢献、チーム史上最高の週末にオコンも11番グリッドから好スタートを決め、早い段階でポイント圏内へ。1ストップでミディアムタイヤを最後まで持たせ、ガブリエル・ボルトレトの追撃を抑えて9位でフィニッシュした。メキシコGPでの14ポイント獲得は、2018年(ロマン・グロージャン時代)に並ぶチーム最高成績。これによりハースの年間獲得ポイントは62点に達し、コンストラクターズランキング8位へと浮上した。ハースF1が示した“ベース性能の高さと運用の成熟”今回の結果は、単なる幸運ではなくチーム全体の成熟を示すものだ。小松礼雄代表が率いる現在のハースF1チームは、ピット戦略・車両安定性・空力効率のいずれも大幅に改善されており、特にベアマンのペースマネジメント能力が光った。序盤で上位勢に食らいつき、後半で冷静に守り切る走りは、かつてのハースには見られなかった安定感だ。フェラーリ育成の“成果”が形となり、チームとしても今季最大の前進を示したメキシコGPだった。