フェラーリは、F1オーストリアGPでシャルル・ルクレールに出された無線指示が、マシンに根本的な問題を抱えていることを意味するわけではないと説明した。レース中、3番手を走行していたルクレールに対し、レースエンジニアから「LiCo(リフト・アンド・コースト)」の実行が強く求められる場面があった。
「リフト・アンド・コースト」とは、ドライバーがブレーキング前にアクセルを早めにオフにし、空力抵抗によって減速する運転技術で、燃料消費の管理やタイヤの節約、さらにはプランク(車体下面の板)の摩耗対策など、さまざまな理由で指示される。フェラーリは2025年シーズンに入ってこのプランク摩耗に苦しんできた経緯があり、中国GPではルイス・ハミルトンがこの問題によって失格処分を受けている。こうしたLiCo指示について、フェラーリの副チーム代表ジェローム・ダンブロジオは次のように説明した。「リフト・アンド・コーストは様々な理由で求められるものだ」とダンブロジオは語った。「重要なのは、特定のレース単体で考えるのではなく、マシンの特定の要素を最適化しようとする中で、それを必要とする場面があるということだ」「我々はシーズン全体を“ポイント獲得の機会”として見ており、スピールベルクやシルバーストン、スパといった各レースではなく、最大限にポイントを稼ぐための手段として判断している」「その結果として、あるレースではリフト・アンド・コーストが必要になることがある。それはドライバーにとって快適なものではないが、現在ではほとんどのマシンが行っていることであり、特別なことではない」「我々はその都度デブリーフィングで確認しており、確かにこのやり方によって一部に制限が出ることはあるが、別の面ではメリットを得られる」「根本的な問題ではなく、あくまでシーズンを通して決定された最適化戦略の一部に過ぎない。あるレースでは余裕を生み、別のレースではそうならない。それだけの話だ」
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