コルトン・ハータ F1挑戦に暗雲 キャデラックはカマラを2027年候補に?
コルトン・ハータがF1参戦を目指してインディカーを離れ、FIA F2へ転向した大きな決断が厳しい局面を迎えている。2026年シーズンは残り5大会となった時点でランキング16位に低迷し、当初期待されていた2027年のキャデラックF1加入から遠ざかりつつある。

海外メディア『Last Word On Sports』は、ハータがもはやキャデラックの2027年に向けた有力候補ではなくなり、フェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)のラファエル・カマラが候補として浮上していると報道。

『GIVEMESPORT』もハータのF2挑戦を「大きな賭け」と表現し、その賭けが現時点では報われていないとの見方を示している。

インディカー9勝を捨ててF2へ 大きな賭けに出たハータ
ハータは2019年、サーキット・オブ・ジ・アメリカズで18歳にしてインディカー初勝利を挙げ、シリーズ史上最年少優勝記録を樹立した。

その後もインディカーで通算9勝を挙げ、ランキング2位を獲得するなど、アメリカを代表する若手ドライバーのひとりとして評価を確立した。

キャデラックがF1参戦計画を進めるなか、アメリカ人ドライバーであり、アンドレッティ陣営との関係も深いハータは自然と有力候補になった。キャデラックは2026年のドライバー候補としてもハータを検討したが、F1参戦に必要なFIAスーパーライセンスのポイントが不足していた。

そこでハータは2026年、7年間戦ったインディカーを離れるという大きな決断を下した。ハイテックからF2に参戦し、スーパーライセンスポイントを獲得すると同時に、F1で使用されるサーキットなどへの適応を進めることが狙いだった。

すべては2027年のF1昇格につなげるための選択だった。

F2で16位 残り5大会で8位とは39ポイント差
しかし、ハータのF2挑戦はここまで期待通りには進んでいない。

『GIVEMESPORT』によると、残り5大会となった時点でハータは26ポイントにとどまり、ドライバーズランキング16位。ランキング8位のローレンス・ファン・フーペンとは39ポイント差がついている。

さらに厳しい材料となっているのが、ハイテックのチームメイトである宮田莉朋がランキング13位でハータを上回っていることだ。

ハイテック自体もチームランキング8位と苦戦しており、ハータの成績をチームの競争力と切り離して考えることはできない。『Last Word On Sports』も、F2は基本的にワンメイクカテゴリーでありながら、チーム間のパフォーマンス差をめぐる議論があることに触れている。

それでも、同じチームで戦う宮田がランキングで前にいる以上、ハータの低迷をチームだけの問題として説明するのは難しい。

特にハータはインディカーで豊富な経験を積んだ26歳であり、F1シート獲得を目的としてカテゴリーを移った以上、F2での結果そのものがキャデラックにとって重要な評価材料となる。

F2で8位を逃してもスーパーライセンス取得の道は残る
一方で、F2ランキング8位以内を逃せば、ハータのF1挑戦が即座に終わるわけではない。

『GIVEMESPORT』は、ハータにはF2でのランキングとは別にスーパーライセンスポイントを補うルートが残されていると指摘している。

FIAのスーパーライセンス制度では、条件を満たしたF1フリー走行への出走によってポイントを獲得できる。ハータは2026年に計4回のF1フリー走行への出走が予定されており、それぞれ必要な走行距離を満たせばポイントを追加できる。

さらに、F2シーズンをペナルティポイントなしで終えた場合にも追加ポイントを得られる可能性がある。

これらを組み合わせれば、F2ランキング8位以内に届かなかったとしても、F1参戦に必要な40ポイントに到達するルートは残されている。

つまり、ハータが現在直面している問題はスーパーライセンスを取得できるかどうかだけではない。

むしろ大きいのは、ハータがF2で苦戦している間に、キャデラックが2027年のドライバー候補として検討できる別の若手が台頭してきたことだ。

キャデラックF1はペレスとボッタスの経験を高く評価
キャデラックF1は2026年の参戦初年度にセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスという経験豊富な2人を起用した。

チームはこれまで一貫して両ドライバーの仕事を高く評価し、新規参戦チームに必要な経験やフィードバックをもたらしているとの姿勢を示している。

ペレスとボッタス自身も2027年のシートについて自信を示している。一方で、両者の契約期間やオプションなど詳細な条件は明らかになっていない。

当初は、2026年にハータがF2で結果を残し、スーパーライセンスを取得したうえで2027年にキャデラックへ加入するというシナリオが有力視されていた。

アメリカの自動車メーカーが率いるF1チームにアメリカ人ドライバーを乗せることには、マーケティング面でも大きなメリットがある。インディカーで実績と知名度を築いてきたハータは、その条件に最も合致する存在だった。

しかし、F2での苦戦によって状況は変わりつつある。

ラファエル・カマラがキャデラックF1の有力候補に

カマラがF2ランキング3位 キャデラックの候補に浮上
ハータに代わって2027年のキャデラックF1候補として存在感を強めているのが、ラファエル・カマラだ。

21歳のブラジル人であるカマラはフェラーリ・ドライバー・アカデミーに所属。フォーミュラ・リージョナル・ヨーロピアン選手権、FIA F3とタイトルを獲得し、今季F2でもランキング3位につけている。

『Last Word On Sports』は、カマラがキャデラックの2027年候補として広く報じられており、フェラーリもF1シート獲得を後押ししていると伝えている。『GIVEMESPORT』も、カマラがキャデラックの検討リストで上位に浮上したとの見方を示している。

F2で苦戦するハータとは対照的に、カマラは結果によって自身のF1昇格への評価を高めている。

さらに重要なのがフェラーリとの関係だ。

キャデラックはフェラーリ製パワーユニットを使用しているため、フェラーリが育成ドライバーであるカマラのF1昇格を後押しする場合、カスタマーチームであるキャデラックは現実的な選択肢となる。

これまでフェラーリ育成ドライバーの受け皿として重要な役割を担ってきたのはハースだった。オリバー・ベアマンもその代表例だ。ただし、ベアマンの起用についてはフェラーリとの関係だけではなく、小松礼雄代表自身が獲得を希望していたという事情もある。

現在のハースはトヨタとの関係を強化しており、今後もフェラーリ育成ドライバーの受け皿として従来と同じ役割を担うかは不透明だ。

そうなれば、フェラーリにとってキャデラックがカマラのF1昇格先として重要な選択肢になる可能性がある。

アメリカ人という強みよりF2での結果が重要に
ハータには依然としてキャデラックにとって大きな魅力がある。

アメリカ人ドライバーを起用するというストーリーは、アメリカ市場を重視するキャデラックにとって理想的だ。ハータ自身もインディカーで実績と知名度を築いている。

しかし、F1のシートを決めるうえで最終的に問われるのはパフォーマンスだ。

ハータがインディカーという確立されたキャリアを離れてF2へ移ったのも、自身の実力を示し、F1参戦資格を手にするためだった。そのF2でランキング16位に低迷している事実は、キャデラックが2027年のラインアップを判断する際に無視できない材料となる。

対照的にカマラは、若さ、F2での成績、フェラーリとの関係という複数の要素を持つ。

キャデラックが参戦2年目も安定性を重視するのであれば、ペレスとボッタスを継続することには十分な合理性がある。一方で将来を見据えて若手を起用するのであれば、現時点ではハータよりカマラの方が説得力のある候補になりつつある。

インディカーで築いたキャリアを離れ、F1という目標に賭けたハータ。その挑戦が完全に終わったわけではなく、スーパーライセンス取得への道も残されている。

それでも2027年のキャデラックF1シートをめぐる競争では、ハータがF2で苦戦している間にカマラが急速に評価を高めた。残り5大会でハータが流れを変えられるかどうかは、F1への道だけでなく、自ら選んだ大きな賭けの成否を左右することになりそうだ。

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カテゴリー: F1 / コルトン・ハータ / キャデラックF1チーム