キャデラックF1、フェラーリ旧型マシン貸与計画を明かす「FIAと協議中」

ロードンはシンガポールGPの週末に取材に応じ、TPC(旧型車テスト)ルールに基づく活動を検討していることを明らかにした。
「我々には旧型車がないが、実際には“車をテストする”ことが目的ではない」とロードンは語った。「シミュレーションを現実に近づけるために、何らかのマシンを使いたいだけなんだ」
「他チームの車を試すことでアドバンテージを得ようとしていると思われがちだが、我々がテストしたいのは『人間』だ」
ピット作業の「筋肉記憶」を養う狙い
ロードンは、実際のF1マシンを使う最大の理由は「メカニックの実践的訓練」にあると説明した。
「アドバンテージを得たいのは、車そのものではなく、メカニックの経験だ」とロードン。「タイヤブランケットを装着したり、車の熱やサイズ感を感じたりといった動作を体で覚える必要がある」
「これまでに何度もチームを立ち上げてきたが、すべての作業をできるだけ現実に近づけることが極めて重要なんだ」

フェラーリとの関係、FIAも協議に関与
キャデラックはフェラーリの顧客チームであるため、対象マシンとしてフェラーリ製を想定しているという。ただし現時点で正式な交渉が行われているかは明らかにされていない。
「我々はフェラーリのカスタマーだから理にかなっている」とロードン。「でも、車そのものから何かを学ぼうとはしていない。サイズや形が近ければ色もどうでもいい」
「もし他チームの車を借りるなら、そのチームがFIAに承認を求める必要がある。我々はFIAと一歩ずつ協議しながら進めており、隠すことは何もない」
F1新規参戦チームの“実地準備”の壁
2026年に新規参戦するキャデラックは、現行チームとは異なり「旧型車テスト(TPC)」の制度を活用できない。これにより、シミュレーション以外の現場訓練機会がほぼ皆無という課題を抱えている。
ロードンが言う「人間をテストする」という言葉は、開発面ではなく組織の即応性や実戦オペレーションを磨く意図を示している。特にピット作業やガレージ環境での安全運用は、初年度からレースを戦う上での重要な基礎となる。
フェラーリ製マシンの貸与が実現すれば、キャデラックにとっては“F1デビュー前のリハーサル”となるだろう。ただし、FIAの許可を得る必要があるため、規制上のハードルは依然として高い。
Source: motorsportweek.com
カテゴリー: F1 / キャデラックF1チーム / スクーデリア・フェラーリ