セバスチャン・ブエミ フォーミュラE引退 12年間のキャリアに幕

ブエミはフォーミュラEで通算14勝、36回の表彰台、17回のポールポジションを記録。2015-16年にはドライバーズタイトルを獲得した。
2026-27シーズンからフォーミュラEが新世代マシン「Gen4」へ移行する節目を前に、シリーズを去る決断を下した。
12シーズン戦ったフォーミュラE創設期の主役
ブエミは2014年にスタートしたフォーミュラEの初年度から参戦。ルノーe.damsでシリーズを代表するドライバーのひとりとなり、創設2年目の2015-16年シーズンにはチャンピオンに輝いた。
その後もルノー、そして同チームを引き継いだ日産で長期間にわたって参戦。フォーミュラE黎明期を象徴する存在として、ルーカス・ディ・グラッシらと激しいタイトル争いを繰り広げた。
特にブエミとディ・グラッシのライバル関係は、Gen1時代のフォーミュラEを特徴づけるものだった。そのディ・グラッシも2026年限りでフォーミュラEを去ることを表明しており、シリーズ創設期を支えた2人が同じロンドンでひとつの時代に幕を下ろすことになる。
ブエミは2023年に長年所属したワークスチームを離れ、ジャガーのパワートレインを使用するエンビジョン・レーシングへ移籍した。
Gen3時代では以前ほど頻繁に勝利を挙げることはできなかったものの、競争力を維持。2025年のモナコE-Prixでは優勝を飾り、フォーミュラEで久々となる勝利を手にした。
エンビジョンでは4シーズンを戦い、2025-26年シーズンがドライバーとして最後のシーズンとなる。
引退後もエンビジョンに残留
ただし、ブエミとエンビジョンの関係が完全に終わるわけではない。
ブエミはレースドライバーの座を退いた後も、アドバイザリーおよび開発担当としてエンビジョンに残り、2026-27シーズンから始まるGen4時代に向けたチームの開発をサポートする。
エンビジョンのチーム代表シルヴァン・フィリッピは、ブエミとチームメイトのジョエル・エリクソンが今季限りでレースシートを離れることについて語った。
「これは難しい決断だった。特にセブとジョエルが我々のチームにもたらしてくれた貢献を考えればなおさらだ」
「Gen4、そしてますます厳しくなるフォーミュラEのカレンダーを見据え、我々はチームにとって重要な開発期間に入ろうとしている」
「セブの経験はこれからも我々にとって貴重なものになる。アドバイザリーおよび開発という立場で、引き続きエンビジョン・レーシングを支えてくれることをうれしく思っている」
「2人がエンビジョン・レーシングに与えてくれたすべてに感謝している。ロンドンでGen3時代を最高の形で締めくくりたい」
エリクソンも今季限りでチームを離れるため、エンビジョンはGen4初年度となる2026-27年にドライバーラインアップを一新する。

トヨタとのWEC活動に集中
ブエミがフォーミュラEを離れる大きな理由のひとつが、耐久レースでの活動だ。
ブエミはトヨタのWECプログラムで長年にわたって中心的な役割を担い、ル・マン24時間レースで4勝、WECのドライバーズタイトルも4度獲得している。
当初発表された2026-27年フォーミュラEカレンダーにはWECとの日程重複が2戦存在していた。その後、2027年モナコE-Prixの日程が変更され、重複は1戦に減少したものの、ブエミはフォーミュラEを継続せず、トヨタでのハイパーカー活動を優先する道を選んだ。
F1では2009年から2011年までトロロッソでレギュラードライバーを務めたブエミは、わずか23歳でF1のレースシートを失った。
しかし、その後のキャリアはそこで終わらなかった。
フォーミュラEという当時まだ将来性が未知数だった新カテゴリーにシリーズ創設時から飛び込み、同時に耐久レースでも成功を重ねた。結果として、フォーミュラE王者、ル・マン4勝、WEC4冠という実績を築き上げた。
そして12年間にわたって戦ったフォーミュラEでの最後の舞台はロンドンとなる。
Gen3時代の最終戦であると同時に、Gen4というフォーミュラEの新たな時代への境目でもある。シリーズ創設時から戦い続けてきたブエミにとって、その節目はキャリアに区切りをつける象徴的なタイミングとなった。
ブエミはフォーミュラEを去るが、モータースポーツから引退するわけではない。今後はトヨタでWECとル・マンでの戦いを続けながら、エンビジョンでは自身が12年間にわたって蓄積してきた経験をGen4マシンの開発へとつないでいく。
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