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F1バーレーンGPで異例の集団パワー喪失 MGU-H廃止の2026年PUが雨で露呈した弱点

F1バーレーンGPで異例の集団パワー喪失 MGU-H廃止の2026年PUが雨で露呈した弱点

2026年F1第16戦バーレーンGP in マレーシアの決勝で、雨によってスタートが遅れるなか、複数のマシンが相次いでパワーを失う異例の事態が発生した。マックス・フェルスタッペンやルイス・ハミルトンをはじめ、多くのドライバーが低速走行中に加速できなくなり、最終的に赤旗が提示された。

原因として浮上したのが、2026年からMGU-Hが廃止された新世代F1パワーユニット特有の問題だ。元F1ドライバーのアンソニー・デビッドソンは、雨による極端な低速走行でターボの回転数が低下し、その不足分を補うバッテリーが消耗したことで、複雑な制御上の問題に陥ったと説明した。

豪雨後のフォーメーションラップで異変

セパンでは決勝スタートのおよそ45分前から雷雨となり、予定されていたスタートは延期された。最終的に約40分遅れで各マシンがグリッドを離れたが、直後から異変が相次いだ。

8番グリッドのアイザック・ハジャーがターン3でコースアウト。その後、セーフティカー先導で走行を続けていたマシンにパワーユニット関連の問題が発生し始めた。

まずマックス・フェルスタッペンが加速できない状態に陥った。フェルスタッペンは再び走り出すことができたものの、続いて2番手のルイス・ハミルトンもパワーを失い、多くのマシンに抜かれていった。

さらにシャルル・ルクレール、キャデラックの2台、アウディの2台などにも同様の症状が発生。フィールドの一部がセーフティカーからほぼ1周遅れるという異例の状況となり、レースコントロールは赤旗を提示した。

MGU-H廃止が低速走行で影響

Sky Sports F1でアンソニー・デビッドソンは、特定メーカーだけの問題ではなく、2026年F1パワーユニットの特性と極端な低速走行が組み合わさったことが背景にあると説明した。

「これはフェラーリのパワーユニットだけが影響を受ける性質のものではない。こうしたウエットコンディションに向けて、事前にどれだけ準備をしていたかという部分が大きい。多くのことはシミュレーションできる」

2026年のF1パワーユニットでは、従来ターボチャージャーと組み合わされていたMGU-Hが廃止された。

「基本的に何が起きているかというと、エンジンをあまりにも低速で動かすと、ターボの回転が落ちてしまう。なぜなら、もうMGU-Hがないからだ」

「昨年までならMGU-Hがターボの回転を維持するのを助けていた。でも今はそれがない。つまり、長時間スロットルをオフにしてアイドリングに近い状態になると、ターボの回転数が落ちていく」

バッテリーがターボラグを補完

ターボの回転数が低下した状態からドライバーがアクセルを踏むと、要求されたトルクを即座に発生させることができない。その不足分を2026年型PUでは強力になった電気系が補う。

しかし、セーフティカー先導による極端な低速走行が長時間続いたことで、その電気エネルギーにも限界が訪れたという。

「ドライバーが再びアクセルを踏むと、右足から要求されたトルクを満たすために、バッテリーのエネルギーを使って不足分を埋める」

「そしてバッテリーが空になった瞬間、残るのはICE、つまり内燃エンジンのパワーだけになる。もうバッテリーがないからだ」

問題は、ターボの回転数も低下しているため、ICEだけではドライバーが要求するトルクを発生させられないことにある。

「ターボが完全に回転を落としているので、エンジンだけではドライバーが要求しているトルクに到達できない。するとFIAのレギュレーションで定められた範囲から外れてしまう」

トラクションコントロール防止規則も関係

デビッドソンによれば、この状況をさらに複雑にしているのが、F1で禁止されているトラクションコントロールを防止するための制御規則だ。

「すべてはチームがトラクションコントロールを使えないようにするためのものだ」

「ものすごく複雑な話だけど、結果としてエンジンが再加速できないという厄介な状況に陥る。この規則によって制限を受けるからだ。基本的にはトラクションコントロールが使われることを防ぐためのものなんだ」

対策のひとつは、エンジン回転数を一定以上に維持し、ターボの回転数を落とさないことだという。

「RPM、つまりエンジン回転数を高く維持すればターボも回り続ける。1980年代の昔ながらのターボエンジンを知っている人なら分かると思う」

「当時はひどいターボラグがあった。そして、こうしたエンジンも同じ問題を抱えている」

通常のドライコンディションでは、このターボラグを電気エネルギーによって埋めることができるため、大きな問題にはならない。

「通常のドライ走行ならバッテリーがあるので、わずかにターボの回転が落ちたことで生じるトルクの穴を埋められる。それほど大きな問題にはならない」

「でもウエットでは当然、スロットルをオフにしている時間がはるかに長くなる。特にセーフティカーの後ろを非常にゆっくり走っているような状況では、それが問題になる」

FIAがソフトウェア更新を配布

今回の現象は2026年F1パワーユニットにとって初めて本格的なウエットコンディションを経験したことで表面化した。

2026年規則ではMGU-Hが廃止される一方、MGU-Kの出力は大幅に強化され、電気エネルギーへの依存度が従来以上に高まっている。そのため、通常のレーシングスピードとは大きく異なるセーフティカー先導下の低速走行が、各メーカーの制御システムに想定外の状況を生み出した格好だ。

メルセデスの副代表ブラッドリー・ロードは、一連の問題を受けてFIAから各チームにソフトウェアのアップデートが送られたことを明らかにした。

F1バーレーンGP in マレーシアで起きた集団パワー喪失は、単なる雨による混乱ではなかった。MGU-Hを廃止し、電動化への依存をさらに強めた2026年F1パワーユニットが、極端な低速ウエット走行というこれまで経験していなかった条件に直面し、その新たな弱点を露呈する形となった。

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