アストンマーティンF1 苦境を未来への糧に「時が来れば準備はできている」
アストンマーティンF1は、厳しい2026年シーズン前半戦を経験する一方で、その苦境を将来の飛躍につなげようとしている。ハンガリーGPで投入した大規模アップデートによってAMR26には改善の兆しが見え始め、次戦オランダGPではホンダの新パワーユニットも投入される予定だ。

アストンマーティンのリザーブドライバーを務めるジャック・クロフォードは、現在の厳しい状況で積み重ねている経験こそが、チームが本来目指す競争力を手にしたときの大きな財産になると考えている。

実車とシミュレーターの両方でAMR26に携わってきたクロフォードは、「僕たちの時が来れば、チーム全体が準備できている」と語った。

11戦でわずか1ポイント アストンマーティンを苦しめたAMR26
アストンマーティンの2026年シーズンは、ここまで苦戦の連続となっている。昨年の開発開始が遅れたAMR26に加え、ホンダのパワーユニットも期待された性能を発揮できず、開幕から11戦で獲得したポイントはわずか1点にとどまっている。

しかし、夏休み前最後のハンガリーGPでは、ようやく明確な前進が見えた。アストンマーティンはロングノーズやフロア、サイドポッド周辺など広範囲に及ぶアップデートを投入。フェルナンド・アロンソは今季初めてQ2進出を果たし、決勝ではランス・ストロールが13位、アロンソが14位でフィニッシュした。

ポイント獲得には届かなかったものの、それまでの戦いを考えればAMR26の競争力が改善していることを示す週末となった。

さらにオランダGPでは、ホンダが改良型パワーユニットを投入する予定だ。この新PUはハンガロリンクで行われたフィルミングデーですでに実走しており、クロフォードがステアリングを握って初期確認を担当した。

リザーブでも「できる限りクルマとガレージにいる」
クロフォードはレギュラードライバーではないものの、アストンマーティンで過ごす時間そのものがF1ドライバーとして大きな経験になっていると語る。

「はい。こうしたことすべてが、僕に経験を積ませてくれていると思う」

「本当の意味で経験を増やすには、それしかない。F1では、時には単純にもっと経験することが必要なんだ」

クロフォードにとって重要なのは、レースに出場するかどうかだけではない。チームの現場に継続的に身を置き、実車やシミュレーターを通じてF1チームがどのように仕事を進めているのかを吸収することに価値があるという。

「常にそこにいて、できる限りクルマに乗ったり、ガレージで時間を過ごしたりするだけでも経験になる。すべてのレースに出場していなくてもね」

「チームの雰囲気は素晴らしい。みんな本当に僕をサポートしてくれているし、成功してほしいと思ってくれている。僕がシミュレーターでいい仕事をしていることも分かっていて、そのうえで可能な限り実車で走る時間を与えようとしてくれている。それは本当に素晴らしいことだ。この2年間でF1マシンをドライブする機会をたくさんもらった」

ジャック・クロフォード(アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム)

難しいAMR26だからこそ学べること
クロフォードはFP1への出走だけでなく、シミュレーターでもAMR26の開発作業に深く関わっている。そのため、アロンソやストロールと同様に、今季のマシンが抱えてきた難しさを実際に経験してきた。

競争力の低いマシンをドライブする経験が自身をより良いドライバーにしているかと問われると、クロフォードは迷うことなく肯定した。

「はい、間違いなくそうだ。競技面ではフラストレーションがたまる状況だけど、チームの考え方は一度も変わっていない」

「このクルマをドライブした僕たち3人にとって、もちろん望んでいた状況ではない。でも、それでも僕たちはものすごくハードに働き続けなければならない」

結果が期待できない状況だからといって、準備の質を落とすことはできない。それがクロフォードの考えだ。

「残りのレースに向かうとき、現実的には何かを争える状況ではないと分かっていたとしても、まったく同じ仕事への姿勢を維持しなければならない」

「いつもと同じように準備を続ける必要がある。僕たちの時が来たときに、準備ができているようにするためだ」

「ポイントや表彰台を争えるときには全員が準備できている」
アストンマーティンは現在のAMR26だけではなく、その先を見据えて開発を続けている。クロフォードは、今の苦境の中で培われているチームの仕事の質が、競争力を取り戻したときに生きると確信している。

「ポイントや表彰台を争えるクルマを手にしたとき、僕たちは完璧に準備できているはずだし、チーム全体が準備できていると思う」

そして、競争力の低いマシンだからこそ、ドライバーは通常以上に細かな部分からラップタイムを探し出さなければならない。

「もちろん、こういう経験はドライバーを成長させる。可能なところなら、どこからでもタイムを探そうとするからね」

「100分の1秒でも、10分の1秒でも必死になって探す。そして、僕たちがミッドフィールドで戦えるようになったときにも、同じように10分の1秒単位で戦い続けると思う。それが週末ごとの結果を大きく左右することになるからだ」

2026年のアストンマーティンにとって、ここまでの結果は期待から大きく外れている。それでもハンガリーGPでAMR26の改善が確認され、オランダGPではホンダの新PUという次の一手も控えている。クロフォードが強調するのは、苦しい時期だからこそ妥協せず経験を積み続ける重要性だ。現在の積み重ねを、将来ポイントや表彰台を争うための準備へと変えられるかが、アストンマーティンの今後を左右する。

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カテゴリー: F1 / アストンマーティンF1チーム / ホンダF1