フェルナンド・アロンソ F1続投の理由「ソファで見れば自分の方ができると思う」
フェルナンド・アロンソは、2027年もアストンマーティンからF1に参戦することを決めた理由について、自身のなかにまだ競争への「炎」が残っているからだと説明した。自宅のソファでF1を見ながら「自分ならもっとできる」と感じる状態では、まだ引退する時ではないという。
45歳のアロンソは今週、2027年もアストンマーティンに残留することを正式に表明した。来季は自身にとってF1通算24シーズン目となる。一方、2026年のアストンマーティンとホンダは新レギュレーションへの対応に苦戦しており、アロンソ自身も新世代パワーユニットのあり方に繰り返し疑問を呈してきた。
それでも、F1から離れるという選択肢を考えたとき、アロンソのなかに残る競争心が最終的な答えを出した。
「ソファで見ていたら自分の方ができると思う」
「2027年がもっと楽しくなるという保証はない。でも、これは自分自身に対してしなければならない決断なんだ」
アロンソはF1バーレーンGPが開催されるマレーシアのセパンでそう語った。
「結局のところ、僕は自分が速いと感じているし、モチベーションもある。自分がやっていることを楽しんでいる」
そして、引退後に自宅からF1を見る自分を想像すると、まだレースから離れることはできないと説明した。
「もし家のソファに座ってテレビでレースを見ていたら、『自分なら彼らよりうまくできる』と思うはずだ。以前F1を離れていたときも、ある意味ではそうだった。レースを見ながら『ああ、あのスタートはよくなかったな』とか考えていた」
「そこに行って、もっといい仕事をしたいという炎がずっと自分のなかにあった。そして今もそれを感じている。その気持ちが自分のなかにある限り、辞める時ではないと思う」
アロンソは2018年限りで一度F1を離れ、2019年と2020年はグリッドから離れていた。その間にはトヨタからル・マン24時間レースに参戦して勝利を挙げたほか、インディ500にも挑戦。2021年にアルピーヌからF1へ復帰した。
2027年続投はストロールとの「5分」で決まった
数カ月にわたって自身の将来を検討してきたアロンソだが、実際に2027年続投を決めるために必要だった話し合いは驚くほど短かったという。
アストンマーティンのオーナー、ローレンス・ストロールと話した際、双方の意向は最初から一致していた。
「決断したのはかなり最近だ。ローレンスと座って話したけど、とてもシンプルだった」
「僕たちにはそれほど話し合うことがなかった。その時点で僕たちは2人とも続けたいと思っていた。5分ほど話して、それから発表した」
2027年はアロンソにとって記録をさらに更新するF1通算24シーズン目となる。
ただし、続投を決断するまでに時間を要した最大の理由は契約条件ではなく、2026年に導入された新しいF1レギュレーションだった。
「バッテリー世界選手権」への不満
アロンソは2026年型パワーユニットについて、以前から電気エネルギーへの依存度が高すぎると批判しており、「バッテリー世界選手権」と表現したこともある。
特にセパンのような高速サーキットでは、エネルギーマネジメントによってドライバーがマシンの性能を純粋に引き出せない状況が生じると指摘する。
「決断で重要だったのはレギュレーションだった。このマシン、このルールで走ることがどれだけ楽しいのかということだ」
「今、僕たちは素晴らしいサーキットに来ている。でもミドルセクターは残念なことになる。そこでバッテリーを使えないからだ」
アロンソによれば、ターン15から最終コーナー、最終コーナーからターン1、さらにターン1からターン3へ続くストレートで最大限の電力を使う必要があるため、それ以外の区間ではエネルギーを温存・回収することが求められる。
「3つの連続するストレートのためにエネルギーを残しておかなければならない。そこでバッテリーを100%使う必要がある」
「だから、それ以外ではただバッテリーを充電している。グリップの限界までマシンを攻めるという意味で、今僕たちが直面している問題はそこにある」
2027年の変更とホンダに「もう一度チャンス」
一方、F1ではパワーユニット規則の調整が決まっており、現在の内燃機関と電動側の出力比率がおおむね50対50となっている構成から、内燃機関側をより重視する60対40の方向へ変更される。
この変更も、アロンソが2027年までF1を続ける決断を後押しした。
「来年は60対40になり、このレギュレーションも2年目になる。もしかすると、もっといい妥協点が見つかるかもしれないと思った」
そして、アストンマーティンにパワーユニットを供給するホンダについても、もう1年その可能性を見極めたいと語った。
「だから、もう一度やってみよう、もう一度チャンスを与えようと思った。特にパワーユニット側にはね」
「僕たちは最初の一歩を間違えた。来年どうなるのかは分からない」
「でも、彼らにはもう一度チャンスが与えられるべきだと思うし、僕は恵まれていると感じている」
2026年のアストンマーティンとホンダは、期待された競争力を発揮できず、ペースと信頼性の両面で厳しいシーズンを送っている。アロンソも、勝利や表彰台を争えない状況ではモチベーションを保つことが簡単ではないと認める。
「もちろん、週末に僕たちは競争力がない。それでも準備でもレース週末でも、できる限りプロフェッショナルであろうとしている」
「表彰台や勝利を争っているなら状況は違う。今でも週末前の準備やサーキットの研究、シミュレーションなど、やるべき仕事はすべてやっている。でも、結果がそれほど競争力のあるものにはならないと分かっている」
「それはモチベーションの助けにはならない。でも結局、バイザーを下ろしてレースを始めれば、それだけで十分なんだ」

F1を離れた2年間がキャリアを延ばした
アロンソは、2019年と2020年にF1から離れた経験も、結果的に現在まで長いキャリアを続けるうえで重要だったと振り返る。
「そうだね。あのときは止まる必要があった」
「F1から一度完全に離れて、違うフォーミュラやカテゴリーを経験する必要があった。自分のなかに大きな好奇心があったし、それらを経験するのは本当に楽しかった」
「新しいモータースポーツの形を知り、それぞれのカテゴリーのスペシャリストから学んで、より完成されたドライバーになることができた。それはとても重要だった」
さらに、F1引退後に再び他カテゴリーへ挑戦する可能性も否定していない。
「今でも魅力を感じている。いつになるかは分からないけど、ああいう経験はまたすると思う」
2027年のアストンマーティンとホンダが競争力を取り戻せる保証はない。それでもアロンソにとって重要なのは、現時点でも自分が速く、レースを楽しみ、そして他のドライバーよりうまくできるという感覚が残っていることだ。
自宅のソファからF1を眺めるより、自らコックピットに座って答えを出したい。その「炎」が消えない限り、アロンソに引退を選ぶ理由はまだない。











