トヨタ WEC
FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースが、今週末5月7日(土)に行われる。

TOYOTA GAZOO Racingは、チームの本拠地ドイツ・ケルンから僅か120Kmに位置する、隣国ベルギーの“スパ”へと向かう。

先月のWEC開幕戦シルバーストン6時間レースでは、2位表彰台獲得と共に2台完走という結果で今シーズンのスタートを切ったトヨタは、ライバルを抑え、マニュファクチャラーズ選手権でのランキング首位で第2戦に臨むこととなる。

チームは、開幕戦の直後から、2日間のテストをスペインのモーターランド・アラゴンで行い、新型TS050 HYBRIDのさらなるパフォーマンスを引き出すべく開発を進めた。このテストでは、2.4リッター直噴ターボエンジンと、8MJに対応したバッテリーによるハイブリッドシステムを採用した新型TS050 HYBRIDの開発を熟成し、さらなる進歩を遂げた。ル・マン24時間レースの前哨戦となる第2戦では、この改善されたパフォーマンスを最大限発揮する。

“スパ”に持ち込む2台のTS050 HYBRIDは、“シルバーストン”と同じく、ハイダウンフォース仕様。開幕戦で学んだいくつかの車両セッティングの知見を活かしてレースに臨む。

スパ・フランコルシャン6時間レースは、複雑な思い出の残るレースでもある。2014年には優勝と3位という好成績で、シーズンのダブルタイトル獲得への大きな足がかりとなった。しかし、昨年は中嶋一貴が公式練習中のアクシデントで負傷、また、決勝レースでも13戦続いたWECでの連続表彰台獲得記録が途絶えることとなった。

先月の開幕戦で、中嶋とアンソニー・デビッドソン、セバスチャン・ブエミが駆るTS050 HYBRID #5号車はタイヤのパンクに見舞われ、それに伴う車体ダメージで大きくタイムをロス、16位に終わったが、第2戦では雪辱を狙う。

一方、小林可夢偉、ステファン・サラザンとマイク・コンウェイの#6号車は、3位でチェッカーを受けたが、その後首位のアウディがレース後の車検で失格裁定を受けたことによって、2位という好結果でスタートを切ることとなった。

2台のTS050 HYBRIDは、全力で“スパ”での表彰台復帰を目指す。土曜日に行われる決勝は、現地時間の午後2時半(日本時間午後9時半)に6時間レースのスタートが切られる。

佐藤俊男 チーム代表:
“スパ”はケルンのトヨタ・モータースポーツ(TMG)と、ブリュッセルのトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME)からも近く、我々にとってホームレースのひとつです。それだけにグランドスタンドで多くのサポーターを見るのを楽しみにしていますし、彼らと共に結果を祝えるようなパフォーマンスを発揮したいと思います。“シルバーストン”での順位自体は良いものになりましたが、今シーズンの目標を達成するためには、更なるパフォーマンス向上が必要です。チームはスペインでのテストを含め、全力で改良を進めています。彼らの多大な努力に感謝していますし、この週末、“ル・マン”への重要なステップである“スパ”でその努力が報われることを望んでいます。

中嶋一貴(TS050 HYBRID #5号車):
“シルバーストン”は幾つかの理由で我々にとっては厳しい週末になってしまいました。しかし、“スパ”では良いレースになると思っています。今週末は“ル・マン”へ向けて本当に重要なレースであり、TS050 HYBRIDから最大のパフォーマンスを引き出すべく集中します。個人的には、昨年アクシデントのために決勝レースが走れなかったので、これまで以上に今週末のレースを楽しみにしています。“スパ”はドライバーであれば病院でのTV視聴ではなく、走りたくなる素晴らしいコースなのです。

アンソニー・デビッドソン(TS050 HYBRID #5号車):
“スパ”でのレースはいつも楽しいチャレンジです。私の好きなコースのひとつですし、TS050 HYBRIDで走れることを楽しみにしています。“シルバーストン”以上に我々のハイブリッドシステムがコースに適合し、良いパフォーマンスが発揮出来ることを願っています。しかし、実際に走り出せば、我々がいかに接近戦の渦中にいるかということが分かるだけでしょう。“スパ”のレースでは、シーズン最大のレースである“ル・マン24時間”へ向けて、我々がどの領域の開発に集中する必要があるかを明らかにしてくれるはずです。

セバスチャン・ブエミ(TS050 HYBRID #5号車):
“スパ”は本当に好きなコースです。素晴らしいコースというだけでなく、2014年に勝利を挙げたという最高の思い出もあります。昨年は厳しいレースだっただけに、今週末は大きな進歩が果たされていることを期待しています。我々にとっては理想的なシーズンスタートとは言い難い開幕戦でしたが、我々は改善すべき点を分かっており、ケルンへ戻ってからも、TS050 HYBRIDから更なるパフォーマンスを引き出すべく、懸命な作業を続けて来ました。公式練習から多くの周回が出来るよう、ここ数年のレース同様に、今年も好天に恵まれることを祈っています。

小林可夢偉(TS050 HYBRID #6号車):
“スパ”もF1やGP2で走ったので良く知っているコースです。それだけに、TS050 HYBRIDで走るのを楽しみにしています。開幕戦“シルバーストン”では、LMP1カーでの初めてのレースを楽しめましたし、コース上の混雑をどのように走るかなど、多くのことを学びました。これらの経験は間違いなく“スパ”でも役立つでしょう。天候面では予測出来ないことで知られるコースですので、どうなるか分かりません。“シルバーストン”では、ほぼ全てのコンディションで走ることになったので、この週末はTS050 HYBRIDを見極めるためにも、ドライになることを望んでいます。何が起こったとしても諦めることなく、全力で立ち向かいます。

ステファン・サラザン(TS050 HYBRID #6号車):
“スパ”を走るのは本当に楽しく、LMP1カーで走るのは至上の喜びです。このような長い伝統を持つコースはシリーズカレンダー上にも少なく、それだけにいつも“スパ”に向かうのは楽しみです。我々は表彰台という好結果でシーズンのスタートを切りましたが、更に高い競争力を望んでいます。チームは“シルバーストン”以来、改良を求めて本当にハードに作業を進めており、TS050 HYBRIDのパフォーマンスがどこまで上がったのかを確認するのは興味深いことになるでしょう。我々のTS050 HYBRIDが“スパ”に適合していて上位争いが出来ることを期待しています。

マイク・コンウェイ(TS050 HYBRID #6号車):
“ル・マン”へ向けての更なるステップアップを果たすために、“スパ”は我々にとって忙しい週末になるでしょう。“ル・マン”まで、もうそれほど時間は残されていないので、全てのチャンスをTS050 HYBRIDの調整に費やしたいと思います。“シルバーストン”から我々がどれだけの進化を遂げられたかを確かめるべく、“スパ”でも全力で作業を続けることを意味します。マニュファクチャラー選手権では首位に立っていますが、我々には、まだやるべき事があるということは分かっており、この週末に良い進化を遂げられると思っています。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)